芸能
Posted on 2016年01月22日 01:57

田宮二郎の妻“没後38年目の初激白”(6)「ドラマ<白い巨塔>にかける田宮の思い」

2016年01月22日 01:57

20160121j

「今の田宮の体を見れば一目でわかると思います。別人でしょ? ウチは休ませたいんですよ」

 幸子夫人は、田宮が「スター千一夜」の司会を担当した頃から世話になったプロデューサーに懇願した。夫人のあずかり知らぬところで、田宮とフジテレビに新たな契約が生まれたのだという。

 そこで夫人は、フジテレビと喧嘩別れせずに新たなドラマの依頼を断る“大人の条件”を出した。

「作品は『白い巨塔』であること。1本あたりのギャラは、TBS時代よりも破格に上積みしてあること。66年の映画版と同じ豪華キャストであること。さらに、田宮企画の代表である私をプロデューサーに入れること」

 欲をかいたわけではない。これだけ厳しい条件ならフジは撤退するだろうと考えたのである。

 ところが、田宮獲得に燃えるフジは、すべての条件を飲んだ。

 長期休暇のもくろみが外れた夫人は、自身がプロデューサーという案からは降りたが、あとになって後悔した。やはり、田宮を最後まで間近で監視すべきだったと思った。

 また、田宮の「白い巨塔」にかける思いも看過できなかった。65年に文化放送のラジオドラマで主役の財前五郎を演じ、翌年の映画版でも大きな評判を取った。

 原作者の山崎豊子に自身の役作りプランを明かし、山崎から「財前はあなたにあげます」との言質も取っている。いわばライフワークの作品であり、映画版では前半部分しか描かれなかったのが、ついにドラマで完結まで描く機会が訪れたのである。

 それでも、と夫人は言う。

「本来ならばいい仕事のチャンスに恵まれたんでしょうけど、精神病を抱えて、心ここにあらずの状態ではやらせるべきではなかったと痛感しております」

 あれほど役作りにこだわり、台本におびただしく書き込みを加えていた田宮が、いざクランクインとなると別人のようだった。台本を目にするわけではなく、作品そのものを軽視する発言を繰り返した。

「今の医学界はこうじゃない。この『白い巨塔』はバカバカしい」

 それは田宮が躁状態に入り、万能感から発した言葉であった。もちろん、夫人もその状態を見過ごすわけにはいかず、斎藤茂太に相談して薬を服用させることにした。

「ただし、田宮がそのことを承知するはずがありません。そこで田宮の側近に相談して、こっそり食事に混ぜるようにしようとしました。ところが、その人が田宮にそのことを告げてしまったんです」

 こうしたことが契機となり、芸能界きってのおしどり夫婦であった2人は修羅の道に突き進んでいった。また「白い巨塔」の撮影も同時に、薄氷を踏むような日々となった──。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク