スポーツ
Posted on 2016年11月27日 09:56

「ミスター・長嶋茂雄」を育んだ佐倉ものがたり(3)地元神社を大切にする教え

2016年11月27日 09:56

20161201e3rd

 長嶋と八幡社の結び付きは古い。臼井小学校時代は、毎月1日と15日の参詣が恒例行事だった。午前4時、まだ暗いうちに起きて、星明かりだけを頼りに田圃の畦道を歩く。学校から八幡社までは30分の道のりだった。八幡社に着くと、子供たちは本殿の前に立ち、唱和する。

「目に見えぬ神に向かいて恥じざるは、人の心の誠なりけり」

 長嶋の声は、いつもひときわ大きかったという。臼井小学校の木村伊三郎校長が、八幡社の縁戚関係にあったらしく、始まった行事だった。戦時昭和は「皇国日本、神州不滅」の時代である。

 根本が思い出す。

「第一次長嶋政権の最終年(1980年)でした。ある日、うちのおやじ(武雄)に電話がかかってきたんです。『八幡様でお祓いしたいから、よろしくお願いします』とね。当時、おやじは八幡社の総代長でしたから、すぐに手配しました。当日は奥さんの亜希子さん(故人)もいっしょでした。なんでも、低迷するチーム状態に悩み、ある人に相談すると、『地元の神社、仏閣を大事にしなさい』と言われ、お祓いに来たんです」

 小林も、似たような話を聞いていた。

「あれは現役時代で、巨人V9の半ばごろでした。極端なスランプに陥り、富士の見える伊豆で山ごもりした際、お寺の住職から『先祖のお墓と、生まれた場所の神社を大切にしなさい』と言われたんです。以来、茂雄ちゃんは、それを頑なに守っているんです」

 巨人のブルペン捕手だった淡河弘は、1971年から3年間、長嶋の山ごもりに同伴している。

「ミスターは富士の大家と言っていいくらいです。夕食は、大仁ホテルの『富士の間』にある窓を開け放ち、夕映えの赤富士を眺めながら箸を動かすんです。そのとき、1時間ぐらい富士について講釈する。富士は1日に7回色を変えるとかね。まさに“富士博士”でしたよ」

 長嶋が大田区田園調布に家を建てたのは、淡河と山ごもりを始めた年である。田園調布に居を定めた理由は、高台にあり、富士を望めることだった。そのため、どの部屋からも富士が見える設計になっていた。

松下茂典(ノンフィクションライター)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年09月16日 20:30

    「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物「エトミデート」は、広島カープに大きな衝撃を与えた忌まわしいブツだ。元広島カープの羽月隆太郎氏にこれを譲り渡したとして医薬品医療機器法違反の罪に問われた会社役員・滝口涼介被告の初公判が9月16日に広島地裁で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月17日 07:15

    20世紀最大級のミステリーと言われてきた、イギリス・スコットランドのネス湖に生息するという未確認動物(UMA)の「ネッシー」に、再び熱い視線が注がれている。いったいなぜか。一時期は目撃情報が激減し、専門家からは死亡説や、人間の活動を警戒して...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク