芸能

後世に伝えたい「ニッポンの大ヒット映画」女優!(3)<壮絶エピソード編>「蛇にピアス」決定翌日に顔の皮が剥がれた吉高由里子

20161215f

 真の女優とは、選ばれた者しか名乗れない苛烈な職業である。スクリーンの華麗な姿だけではわからない「壮絶な役作り」がそこにはあった!

 女優の凄味を表す古典的なエピソードといえば、田中絹代(享年67)の「楢山節考」(58年、松竹)だろう。姥捨て山をテーマにした作品で、田中は「石で歯を折る」という有名なシーンのため、前歯を何本か抜いて撮影に臨んでいる。

 そして21世紀も、女優たちの覚悟は継承されている。吉高由里子(28)の初主演作「蛇にピアス」(08年、ギャガ)は、オールヌードが話題になりヒットしたが、主演に決まった翌日に交通事故にあい、ICUに5日間も閉じ込められる重傷を負った。

〈顔からジャリジャリ音がするので気になって気になって。そしたら今度は血も流れてきた。看護師さんには「鏡を見せてください」って言うと「鏡はないです」と〉

 後日、吉高が振り返った言葉である。夜中にこっそり匍匐前進でトイレに行き、顔の包帯を取ると──、

〈皮膚がぜんぶ剥がれ、かさぶたに覆われた自分の顔。ICUで多くの死を目の当たりにした時、次は私が死ぬのかもと思った〉

 そこから強烈に「生きたい!」という思いが芽生え、全治半年のはずが1カ月半で退院。初主演作をキャンセルすることなく今に至っている。

 さて、新旧の「失神エピソード」を並べてみたい。永遠のマドンナである吉永小百合(71)はデビュー当時、「大丈夫の小百合ちゃん」と呼ばれていた。どんな撮影でも常に「大丈夫です」と答えたからだが、それを超えてしまったのが「ガラスの中の少女」(60年、日活)だった。

 共演の浜田光夫がこう語っている。

「湖で心中して、小百合ちゃんが湖面に浮かぶシーンを撮りたいと監督が聞いたら『大丈夫です』と。10月の寒い時期だったけど、小百合ちゃんは、まばたきもせず浮かんでいた。そして『カット!』の声がかかっても上がって来ない。どうやら我慢を重ねているうちに失神しちゃったんだ」

 その精神力こそ、今なお主演女優でいられる要因であろう。そして新しいところで、二階堂ふみ(22)の「脳男」(13年、東宝)も強烈。二階堂は連続爆破犯に扮し、共演の謎の男役・生田斗真に首を絞められるシーンがある。

「もっと力を入れてやってくれ!」

 瀧本智行監督の怒号が飛ぶ。生田は手に力を入れると、二階堂が失神。

「フワーッていきました。未知なる体験」

 二階堂は撮影での失神を、皮肉を込めてそう語っている。実は撮影中の食事制限も長く、それに加えて失神事件があったことで「早く終われ、この現場」とつぶやいていたようだ。

 逆に、共演者を失神寸前に追い込む女優魂を見せたのが小川眞由美(76)である。85年公開の「食卓のない家」(松竹富士)で、岩下志麻の目の前で金魚をかみ砕くという演技を見せた。

「卒倒しそうになりました」

 そんな感想を漏らす岩下に対し、小川は何食わぬ顔で答える。

「あまりにも生臭かったからレモン水を飲んだら、小骨が刺さりまくって大変だったわ」

 かつて「悪女」の代表であっただけに、堂々たる後日談である。最後に、変わったケースを経験したのは江波杏子(74)だ。主演の「女賭博師」(66~71年、大映)は、全17作のヒットシリーズとなった。

 そしてある日、新幹線でヤクザに声をかけられる。

「姐さん、今日は釜ヶ崎のほうで賭場を開いています」

 男の俳優でも、ここまで役柄と混同されるケースは珍しいだろう。江波はこうした声にも、姐さんらしい貫禄で悠然と聞き流していたようだ。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身