社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「フケが出てきた時に洗髪すべきか否か。過剰なシャンプーが皮膚を乾燥させる」

 先日、電車に乗っていると、近くにいたスーツ姿のおじさんの肩にフケがこびりついていました。それを見た女子高生2人組がイヤな顔をして不快感をあらわにしていましたが、髪の毛が伸びて皮膚が元気なかぎり、どんな人でもフケは出ます。

 髪の毛についたままだったり、どこかに飛んでいったりするので普通は目立ちませんが、乾燥すると出やすくなるため、冬は特に要注意です。

 病気ではないものの、肩にフケが大量に落ちていると不快感を覚える人も多く、イヤな存在ですが、ここで問題です。

 フケが多い場合、洗髪を減らすべきか増やすべきか、どちらでしょう。

 フケとは漢字で「頭垢」と書くとおり、新陳代謝により頭皮の角質細胞=古い皮膚が剥がれたものです。お風呂に入らず黒くなった足をかくと、古い皮膚が白いカスとなって出るのと同じ理屈です。

 頭皮には皮脂腺という脂の腺があり、脂が分泌するようにできています。そうした脂を取り除いてしまうのが洗髪であり、洗髪の回数を減らすのが正解です。

 ダイエットで脂物を控えすぎると足がカサカサになりフケも多くなりますが、体には一定の脂が必要です。オットセイやラッコが海に潜っても寒くないのは、皮膚の表面からたくさん分泌された皮脂が毛先を覆い、水を弾くからです。

 これと同じく、人間も体から出る脂がフケを出さないようにしています。雨に濡れた時、髪の毛を伝って雨水が落ちるのも、これと同じ原理です。

 40年ほど前に、銭湯が一般的だった時代、お風呂に入るのは、せいぜい2~3日に1回ぐらいでした。

 当時は石鹸で頭を洗う人が多かったとおり、本来、洗髪は2~3日に1回で十分であり、石鹸で洗っても問題ありません。

 その後、さまざまなシャンプーが開発され、「脂っぽい頭はオヤジくさい」という風潮が芽生えました。

 さらに化粧品メーカーが「洗髪習慣を身につけよう」という風潮を作り、続けて「乾燥は体に悪いからトリートメントしましょう」とリンスやヘアコンディショナーを売りだしましたが、このとおり、化粧品メーカーの戦略に踊らされた面があります。私たちはいわば「不潔恐怖症」にされてしまったのです。

 本来は必要な皮脂を、必要以上の洗髪で取り除いたため、フケが出やすくなってしまったわけです。

 頭全体をお湯で流し、少量のシャンプーをお湯で泡立て、爪を立てずに揉み洗いするのが正しい頭の洗い方です。爪を立てると頭皮が傷つきフケが多くなりますので、注意してください。

 洗髪の回数を減らしてもフケが出るという人は、ポケットにオイル系のヘアリキッドを入れておくといいでしょう。

 福山雅治さんやタモリさんは、お風呂に入っても体は必要以上に洗わないそうです。湯船の中で、手で体をゴシゴシする程度だといいますが、体を守ろうとしている脂を取り除くのは、自然に逆らうことなのです。

 なお、皮膚病でフケが多くなる脂漏性湿疹という病気もあります。

 これは、さまざまな要因から皮脂の分泌が多くなった状態で、この場合は、皮脂の分泌過多を取り除くために洗髪が効果的となります。

 こちらは一種の病気ですので、ひどい場合は医者に診てもらい、ステロイド外用薬などで治療してみてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え