社会
Posted on 2017年09月18日 09:55

秋津壽男“どっち?”の健康学「虫に刺されることで起こるアレルギー反応。アナフィラキシーショックには個人差がある」

2017年09月18日 09:55

 毎年、夏になると、虫刺されに悩まされる人も少なくないでしょう。最近では、南米原産のヒアリの上陸が報じられていますが、ここでお題です。虫刺されで、蚊とアリのどちらが怖いでしょうか。

 蚊は人間の血を、吸血管と呼ばれる細い管を使って吸います。人の体は、酸素や栄養分を体の隅々まで運んでくれる大事な血液を失わないように、酸素に触れると血が固まります。その血を蚊が吸っている間に固まらないよう、蚊自身の唾液を入れて吸います。この唾液により血の凝固反応が防がれ、血を吸い終わった時に管をすばやく抜き、すぐに逃げられるようにできています。

 一般的に蚊に刺されるとかゆくなりますが、これは「即時型反応」という症状です。

 また、蚊の唾液にすぐ反応しない場合があります。そうしたケースは「遅延型反応」と呼ばれ、蚊に刺されて数時間後にかゆみや腫れが出ます。幼児に多く見られ、これを小児ストロフルスといいます。多くの場合は成長の過程で蚊に刺されることで、体内免疫ができて「即時型反応」に変わっていくのです。

 俗説では「蚊が好む血液がある」と言われていますが、実際に科学的にも証明されています。それは血液型により異なります。刺されやすいのはO型で、次にAB型、B型ときて最も刺されにくいのはA型です。

 とはいえ、誰も蚊に刺されたくないというのが本音でしょう。蚊に刺されないためには、蚊は汗に反応するので、汗はしっかり拭きましょう。お酒を飲んだあとは体から発する二酸化炭素の量が増えるため、蚊に刺されやすくなります。扇風機をかけることで、二酸化炭素が拡散して蚊が集まりにくくなります。他にも、黒い服を着ていると蚊が寄ってきますので、白い服を着たほうがよいでしょう。

 蚊に刺された場合、かけばかくほどかゆくなります。5分も冷やせばかゆくなくなりますので、薬を塗るより、氷や保冷剤を当てることをオススメします。

 現在の日本では蚊はさほど怖い存在ではありませんが、海外では状況が大きく変わります。蚊が媒介となってマラリアやデング熱などの感染病にかかる場合があるからです。渡航前に現地での流行状況を把握しておくことが大切です。

 一方、この夏、南米を原産地とする猛毒アリ「ヒアリ」が日本に上陸し、話題となりました。海外から運ばれたコンテナにいたヒアリは、尼崎市や神戸市、名古屋市、その後は大井埠頭で発見されています。

 ヒアリに刺されるとヤケドのような強い痛みのあと、アナフィラキシーショックというアレルギー反応を起こし、じんましんが出たり呼吸困難に陥って死亡することもあるとされています。

 健康な人がヒアリに刺されても、赤く腫れ上がるだけで死亡する可能性は低いのですが、何かしらのアレルギーを持つ人が刺されると、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるので、蚊よりアリのほうが注意が必要となります。

 スズメバチに刺された場合も同じで死亡までには至りませんが、人によっては血圧低下や呼吸困難を起こし、場合によってはショック死を起こします。2回以上刺されるとアナフィラキシーショックを発症するとも言われますが、一度刺されて発症する人もいれば3回刺されても発症しない人もいるなど、個人差があるので過信しないことです。

 スズメバチに刺された場合、すぐに救急車を呼んでください。救急車を待つ間に応急処置をして傷口を水で洗い、毒をしぼり出し、虫刺され用の薬=抗ヒスタミン成分を含むステロイド系軟膏を塗り、傷口を冷やして安静にしてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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