芸能

ナイツ 塙宣之「東洋館より1つ上の劇場を作りたい」/テリー伊藤対談(4)

テリー 今回は映画を作りましたよね。これから漫才協会をもっと大きくするために、何か考えてるんですか。

 漫才協会って、吉本みたいな1つの事務所じゃないですよね。いろんな事務所に所属する芸人の集まりなので。だから東京にある、吉本以外の事務所が1つになって、もう1個劇場を作りたいなっていう思いは最近すごくありますね。

テリー 「東洋館以外で」っていうことだよね?

 そうですね。東洋館に出ることを目標にしても生活できないので、もう1個上の劇場を作って、東洋館で修行した人がそこに出られるという流れを作りたいんですよ。で、その劇場に出られるようになれば生活もできるという。

テリー いいねぇ。

 吉本は東京にも神保町よしもと漫才劇場とか劇場があって、そこに出ている芸人でもM−1の準決勝ぐらいに行ける力があれば、もう舞台だけで月30万円ぐらい稼いでるらしいんですよ。

テリー へぇ、そうなんだ。

 やっぱりこれからの時代、テレビだけで生活できる芸人ってそんなにいないので、劇場で飯が食えるように、何十年かけて改革をやっていこうかなと思ってます。

テリー それは例えば、どの辺に作るの?

 新宿は「ルミネtheよしもと」があるじゃないですか。浅草には東洋館がある。そう考えると高円寺とか中野とか、そういうところがいいのかなって、ちょっと考えてます。

テリー 広さは?

 300席ぐらいですかね。今度、サンミュージックの社長のリッキー(岡博之)さんとか、サンドウィッチマンさんとか、イベンターさんと話し合いを持つんですけど。「どこが運営して、どういう形態にしていきましょうか」っていう。まだ全然具体的な話じゃないんですけど。スポンサーも探さなきゃいけないですし。

テリー お金は塙さんも出すんでしょう?

 そうですね。サンドウィッチマンさんに結構払ってもらおうかなと。

テリー 1億は必要だよね。

 でしょうね。何かテリーさんに聞かれると焦りますね。俺、そんなにやらなきゃいけないのかって。ここまで詰めてくる人いなかったから(苦笑)。

テリー いやいや、俺、こういう話が好きなんですよ。この前もここに来てくれた棚橋(弘至)さんが同じような話してたから、面白いなと思って。じゃあ、最後に改めて初監督作の見どころを教えてください。

 とにかく芸人がなぜ舞台に立つのかっていうところを撮りたかったんですね。お金だって全然もらえないし。でも、何で出るのかを考えたら、もしかしたら芸人にとっての一番のパワースポットで、芸人として自分の人生を昇華できるのが舞台なんじゃないかなと。舞台っていうのはそれほど魔力があるものなんだっていうことを、この映画で感じていただけたらと思います。

テリー でも、俺なんかは芸人さんは死に場所があって幸せだなと思いますよね。

 ああ、そうですね。

テリー 死に場所なのか逃げ場所なのかわからないけど、普通のおとっつあんはそんなのないもん。俺だってないし。仕事がなくなって、家を出ても行くとこがない。

 そうですね。晩年出番がなくても楽屋にいらっしゃった師匠がいたんですけど、そういう居場所があるっていうのは、それだけで幸せなのかもしれないですね。

テリー じゃあ、次回作はぜひコダマ師匠を主役に。師匠の家で早朝バズーカもやってさ。

 ああ、いいですね(笑)。合鍵盗んで、師匠の家に勝手に上がっちゃって。面白いかもしれないな。

テリーからひと言

 レギュラー番組だけでも大忙しだろうに、映画まで撮って、ほんとに頭が下がるな。塙会長の下、漫才協会がどんどん変わっていくのを楽しみにしてます。

ゲスト:ナイツ 塙宣之(ナイツ はなわ・のぶゆき)1978年、千葉県生まれ。大学卒業後の2000年、落研の後輩・土屋伸之と「ナイツ」結成。2008年の「M-1グランプリ」(ABCテレビ)で3位に。以降、2010年まで3年連続で同番組の決勝に進出。2007年、史上最年少で「漫才協会」の理事に就任すると、副会長を経て、2023年、会長に就任した。現在は「ナイツ ザ・ラジオショー」(ニッポン放送、月~木)、「ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ、毎土)、「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(ニッポン放送)などにレギュラー出演中。また2018年より「M-1グランプリ」の審査員も務める。

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