ここで首をかしげるのが水と油にも見える「橋下・小沢・玉木」連合と安倍総理があっさり融合できるのか、ということだ。この疑問に、さる自民党関係者はこう答えた。
「まず、橋下さんが創設した日本維新の会は自民党の補完勢力みたいなもので、安倍総理とはツーカーの仲。橋下氏と小沢氏は『民主主義は数だ』の意見で一致している。小沢さんも玉木さんも、信条の詳細では差異もあるが、改憲派という点では、安倍総理と同じです。加えてもうひとつ。消費増税はそもそも民主党政権時に言いだした政策で、自民党も安倍総理も、基本的にはやりたくない。橋下さんは『社会保障に使うための消費税増税は反対』という立場で、玉木さんや小沢さんも同様に増税反対派です。国民民主党と自由党が大連立に組み込まれれば、与党の枠組みが変わったことを理由に、今年10月と明言している消費税増税を電撃的に『再延期』することもできる」
増税延期となれば、不安がつきまとう安倍政権の支持率は回復し、夏の参院選を乗り切れるという魂胆だ。
「早ければ、改元直後の5月中旬にも大連立が実現することも。そうでなくても、参院選後には十分ありえます」(自民党関係者)
また、各方面から「保守の権化」とみられている安倍総理にとって、党外から中道の意見を取り入れてリベラリズムの象徴となるイメージ変更は悪くない、との計算もある。
「小沢、玉木だけでは『悪人と不人気政治家のコンビ』というありがたくない印象を持たれかねない。だいたい、自由党も国民民主党も支持率はほぼ0%。だから国民的人気のある橋下さんが必要になってくるんだよ」(自民党OB)
ではなぜ、このタイミングでまさかのウルトラCが浮上したのか。安倍総理が大連立を欲した理由のひとつに、宿願たる憲法改正問題があった。官邸関係者が言う。
「与党の片翼を担う公明党は、支持母体である創価学会の池田大作名誉会長(91)が『憲法9条は我々の宝だ』と公言していて、いつまでたっても改正に及び腰のまま。実現のためには、どうしても公明党議員以外の賛成票が必要となる。ここで問題になってくるのが、安倍総理の任期です」
「日本をダメにするリベラルの正体」(ビジネス社刊)の著者で、永田町に詳しいジャーナリストの山村明義氏があとを引き取る。
「自民党は総裁任期を連続2期6年としていた党則を3期9年に改正し、昨年9月に安倍総理は3選されました。安倍さんが総理大臣でいられるのは、21年9月まで。しかし今年は4月に統一地方選、5月に新天皇即位があり、夏には参院選も控えている。来年は東京五輪。衆議院の解散総選挙はそのあとでしょう。スケジュール的に、任期中には憲法改正の実行が困難だと言われています」
そもそも安倍政権はまだ、改正の発議すらしていない。