国民民主党から参院選比例代表に立候補する山尾志桜里元衆院議員は、やはり不倫に関する明確な言及をしなかった。
6月10日に国会内で記者会見した山尾氏には8年前の不倫スキャンダルについての質問が相次いだものの、説明を避け続けた。
そして新人候補の出馬会見にはしばしば同席する玉木雄一郎代表の姿は、会見場にはなかった。山尾氏が集中砲火を浴びる事態は事前に予想されたものの、自らも不倫スキャンダルを起こしている玉木氏は、山尾氏に対応を丸投げした格好だ。国民民主党関係者によると、
「玉木代表も会見に同席するか検討したものの、自身の不倫問題に飛び火しかねないとして、見送っています。党内からは『山尾氏の不倫問題を承知の上で公認したのは玉木代表だ。公認した以上、山尾氏に任せるのではなく、批判を浴びるのを承知で前面に出るべきだった』という声が出ていますね」
山尾氏は約2時間半の会見中、憲法改正について、自衛隊を明記した上で「(戦力不保持や交戦権否認を定めた)憲法9条2項は改正して自衛権の手続き的な統制を書き込むべき」と主張した。
もっとも、山尾氏が得意とするこうした分野の質問よりも、当然ながら不倫騒動にまつわるものが多かった。だが山尾氏はその都度「すみません」「ごめんなさい」を繰り返すだけだった。にもかかわらず、先の国民民主党関係者は楽観視する考えを明かしている。
「会見さえ終えれば、みそぎが済んだと言えます。都議選では与党への批判票の受け皿になれる。都議選で10議席程度を獲得して躍進すれば、参院選に弾みがつく。その頃には、山尾氏の不倫騒動への関心は薄れているでしょう」
そんな都合のいい皮算用が通用するのか。「山尾ショック」の大きさを、玉木代表をはじめ、党全体として深刻に受け止めるべきだろう。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)