スポーツ

阪神&ソフトB、新助っ人獲得の決め手「日本流トミー・ジョン手術論」とは?

 ソフトバンクと阪神の補強に「トミー・ジョン手術」を巡る思惑が駆け巡っている。

 NPB通算288本塁打を誇る前ヤクルト・バレンティンの獲得に成功したソフトバンクが、メジャーを代表する左の先発投手、マット・ムーアとの契約を確実にした。選手層の厚いソフトバンクにおいて、唯一の弱点が、左の先発スタッフが少ないこと。「獲得」の決め手になったのが、ひじのじん帯断裂を治すために受けるトミー・ジョン手術だった。

「ムーアは2014年4月、この手術で、左ひじにメスを入れました。翌年には復帰しましたが、精彩を欠き、SFジャイアンツ、レンジャース、タイガースと渡り歩きました。タイガースでは『復活したら御の字』ぐらいの扱いでした。米メディアも復活に懐疑的です」(米国人ライター)

 19年は、ほぼマイナー暮らしだったムーア。日本での活躍を引っ提げてメジャーの第一戦に戻ろうという雰囲気だが、ソフトバンクは復活に手応えを感じているという。

「ソフトバンクには和田毅というトミー・ジョン手術から数年を経て復活した“サンプル”選手がいる。手術の翌年には投げられますが、本当に良くなるのは数年後ということがわかっているから、14年にメスを入れたムーアに対し、『そろそろ復活』と思ったようです」(地元紙記者)

 また、ムーアとの契約を進めていたからだろう。右の中継ぎ投手のスアレスを切った。このスアレスも16年にトミー・ジョン手術を受けており、19年シーズンは先発を含む9試合にしか登板していない。こちらは阪神が中継ぎを予定して獲得を決めたが、やはり、阪神からも「復活には数年かかる」の声が聞こえてくる。13年にメスを入れた藤川球児が本来のストレートを取り戻したのは昨季終盤。今季はクローザーの座も奪い返している。

〈トミー・ジョン手術を受けた選手は復活まで数年かかる〉というサンプルケースから導き出した論理が、ソフトバンクと阪神、それぞれがムーア、スアレスの両投手を獲得したことにつながったようだ。

「メジャーにも『トミー・ジョン手術を受けた投手は復活まで数年かかる』という考え方が浸透しています。でも、一つのチームに在籍して復活まで待ってくれるケースはありません」(前出・米国人ライター)

 ムーア、スアレスが日本で正当に評価されたことは意義深い。それにしても、「数年かかる」と聞くと、来季の大谷翔平は大丈夫なのか、ちょっと心配になってきた。

(スポーツライター・飯山満)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
【鉄道】新型車両導入に「嫌な予感しかしない」東武野田線が冷遇される「不穏な未来」