芸能

松村邦洋×河合敦「大河ドラマ」を語り尽くそう(4)お市・淀・江=歴史は女で作られる

松村 大河ドラマを見てて、日本の歴史ってやっぱり女性が動かしているんだなって思いました。

河合 まったくそのとおり。信長の妹のお市の方の長女・淀殿は、のちに秀吉の側室となり、大坂城で息子の秀頼と一緒に死にますが、三女のお江は豊臣一族に嫁いだあと、3度目の結婚で家康の息子の秀忠に嫁いだ。その2人の間に生まれたのが徳川3代将軍の家光ですから、まさしく歴史は女たちによって作られている。『麒麟がくる』で、帰蝶役の川口春奈さんはどうですか。目がキラキラしてステキですよね。

松村 うっとりしちゃいます。信長と帰蝶の間には子供はないけど、僕だったら、川口春奈さんの帰蝶なら子供をいっぱい作りますね(笑)。

河合 私は『真田丸』での、信繁(幸村)に付き従いながらもお転婆な、きり(長澤まさみ)が印象的。

松村 でもやっぱり『おんな太閤記』のお市の方の夏目雅子さんが一番でしょうか。滝田栄さん主演の『徳川家康』(83年)でも、茶々・淀君を夏目さんが演やって、これもまあシビレましたね。『黄金の日日』でも豪商の娘・モニカ役でした。それと僕らの世代だと、『独眼竜政宗』(87年)の正室愛姫(めごひめ)の桜田淳子さんもよかったですね。政宗の子供が生まれた時に男の子を期待していたので、名前を「五郎八」ってつけたら、淳子さんの愛姫が「ごろっぱちって、どういうことですか」って政宗に怒るんですね。そしたら政宗は「これは『いろは』姫と読むんだ」って。

河合 『篤姫』(08年)の宮崎あおいさんも印象に残ってますね。

松村 これも堺雅人さんが演じた13代徳川家定に薩摩藩から嫁いで、うつけと言われていた家定が、毒殺されないようにバカな振りをしてるんだって篤姫は気づきますね。「うーん、餅が焼けたぞ、餅が」って振り返った時に別の顔があって、「ハリスは条約をこのままにしておくわけにいかないだろう」って。

河合 実は頭がいいというこの設定はおもしろかった。でも家定は定説のとおり、バカだったんですけど(笑)。公武合体で徳川に嫁ぐことになった皇女和宮の堀北真希さんの輿入れ姿もきれいでしたね。

河合 私の偏愛キャストはなんといっても『龍馬伝』(10年)で、三菱財閥の創始者となった岩崎弥太郎を演じた香川照之さんですね。福山雅治さんを食ってしまうほどの存在感だった。

松村 僕が好きなキャストは、徳川家康を演じる津川雅彦さんです。ものまねを始めたのも『葵 徳川三代』を見てからですし、家康と津川さんご本人に憧れと尊敬を感じてました。

「大事なのは身内にあらず、忠義の家臣と心得よ。秀康を差し置いてそちを世継ぎと決めたるは、三河の譜代大名に受けがよかったからじゃ。このぎ、ゆめゆめ忘るるべからず」って秀忠に家康が言っているのを見ると、その名前のとおり、家を大事にして健康も大事にして75歳まで生きてるってすごいですよね。

河合 健康で長生きというのが、ビジネスでも何でも最後には勝ちですからね。

松村 これから、大河ドラマになってほしい武将は、立花宗茂ですね。

河合 立花宗茂は、関ケ原の戦いで西軍に参加して領地を取られ、浪人となりました。しかし数年間の就活の末、徳川の旗本となり、その後、将軍秀忠の信頼を得て大名に復帰。最後にはかつての地元、九州柳川の領地を取り戻した人物で、敗者復活の代表です。コロナ禍からの復興という点でも、立花宗茂は日本全体の希望になる気がしますね。

松村 野村再生工場みたいに、一度失敗した人が復活する物語っていいですよ。九州出身の芸能人も多いし、九州の武将たちのすごい人たちをみんな出してほしいですね。

松村邦洋(まつむら・くにひろ)1967年、山口県生まれ。太田プロダクション所属。ビートたけしや掛布雅之など、従来にないものまねで一躍人気を博す。大河ドラマの役者のものまねを織り込んだ歴史知識を披露するなど、バラエティー、ドラマ、ラジオで活躍中。著書に『武将のボヤキ 松村邦洋のお笑い裏日本史』(武田ランダムハウスジャパン)など。YouTube「松村邦洋のタメにならないチャンネル」好評配信中。

河合敦(かわい・あつし)1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。多摩大学客員教授。早稲田大学非常勤講師。歴史作家・歴史研究家として数多くの著作を刊行。テレビ出演も多数。主な著書:『早わかり日本史』(日本実業出版社)、『大久保利通』(小社)、『日本史は逆から学べ〈江戸・戦国編〉』(光文社知恵の森文庫)、『繰り返す日本史 二千年を貫く五つの法則』(青春新書)など。

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