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掛布雅之 鳥谷は「つなぐ3番」から「決める3番」へ(1)

 主軸を務める鳥谷敬が、交流戦で打率を3割の大台に回復させました。対戦経験の少ないパ・リーグの投手を相手にヒットを量産していますが、私はむしろ交流戦後の鳥谷の打撃が楽しみです。その理由はあとで触れるとして、今回は和田監督が最も信頼を寄せている、この生え抜きのチームリーダーについて、語ってみましょう。

 今季の鳥谷は3月上旬に背中を痛め、オープン戦の後半は1試合も出場しないまま開幕を迎えました。普通の選手なら、開幕試合には出場できなかった可能性が高いのではないでしょうか。彼はケガにすこぶる強いとともに、休めないという十字架を背負っているのです。

 鳥谷は現在、2年連続フルイニング出場中で、新人時代の04年9月から続ける連続試合出場は、昨季終了の時点で1322に伸びました。これは衣笠祥雄さんの2215、金本知憲の1766に次ぐ歴代3位のすばらしい記録です。ショートという過酷なポジションで当たり前のように試合に出続けるのは、並大抵のことではありません。

 鳥谷クラスになると、故障をごまかしながらグラウンドに立つことにも慣れています。それでも、開幕をぶっつけで迎えるのは異常事態です。どれぐらいの強さで振っても大丈夫かなど練習ではなく実際にゲームに出ないとわからないのです。平然とフルイニング出場を続け、走攻守に高いレベルのプレーを見せるのですから、立派のひと言です。

 ただし、チームの顔としては、今の打撃スタイルには不満です。確かに打率は3割を超えていますし、四球数もヤクルトのバレンティンとリーグトップを争うほどです。ですが、両者の四球は意味が違います。バレンティンは相手が勝負を避けてのもの、鳥谷は選球眼のよさでもぎとったもの。現状の鳥谷には嫌らしさはありますが、怖さ、強さはないのです。

 今季の打球方向のデータを見ても、半分以上がセンターから左です。これは背中の状態の影響もあるのでしょう。ぶっつけ本番の開幕となり、ボールをよく見て、丁寧に打とうという意識になるのも当然のこと。ボールを手元まで十分に引きつけてスイングしますから、四球の数は自然と増えるわけです。

 しかし、あまりにもボールの見極めをよくしよう、センターから左に打とうという意識が強すぎます。そのため、スイングの軸が一塁の方向へ倒れてしまっているのです。軸がぶれてしまえば、力強い打球は打てません。本塁打が極端に少ないのはそのためです。

 3番打者である以上は、ホームランも20本は欲しいところです。09年には20本を打った経験もありますし、30本近く打つパワーは持っています。鳥谷に必要なのは、一塁のベースコーチに当たるくらいのライナーを打つ、強いスイングです。相手バッテリーも一発がないと思えば、内角を攻め続けてきます。そうなると無意識のうちに右足の踏み込みが甘くなります。“かかと体重”となり、ますます打球は弱くなるのです。踏み込んだ右足の親指の付け根に体重を感じるような感覚でボールを見逃せるようになって初めて、右方向に強い球が打てるのです。

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