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Posted on 2022年12月11日 09:56

世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「『人的補償』という言葉は大嫌い」

2022年12月11日 09:56

 西武からFA宣言した森友哉のオリックス入団が決まった。4年総額18億円の破格条件と報じられている。僕らの時代では考えられないすごい額やけど、オリックスには皮算用があったと思う。吉田正尚がポスティングシステムによるメジャー移籍を目指しており、交渉がまとまれば、球団に譲渡金が入ることになる。日本一になったチームはCS、日本シリーズでも潤った。強打の捕手を獲得するための資金はたっぷりあったということ。

 地元・大阪に帰ってきた森が、実力どおりに働けばオリックスの3連覇は見えてくる。19年に首位打者を獲得した打撃は、小さな体を目いっぱい使ったパワフルなスイングが特徴。若い頃はリードがどうのこうのと言われたけど、試合経験を積んでキャッチャーとしての守りもしっかりしてきた。立ち居振る舞いからは負けん気の強い性格が伝わってくる。強気のリードでインコースをどんどん突いてくるイメージがあってオリックスの福良GMも捕手として高く評価しているという。

 少し不安があるとすれば性格にムラっけがあることやな。年度別の打撃成績にも表れている。18年以降、最近5年の打率は275⇒329⇒251⇒309⇒251。投手では工藤公康のように隔年で成績を残す選手がいるけど、野手でこれだけ極端なのは少ない。ましてや捕手は冷静沈着なタイプが多いだけに、なおさら珍しい。今年は途中交代のあとに投げ捨てたマスクで指を骨折して離脱するなど、最悪の1年やった。順番からすると来年はいい年になるはずやけど、そう簡単にはいかないと思う。

 来年3月31日の開幕戦は敵地で古巣の西武が相手やから、森にとってはやりづらい。スタンドからブーイングを浴びるまではないだろうが、西武投手陣は意地でも打たれたくないと、激しい内角攻めが予想される。性格や球筋は知り尽くしているとはいえ、なかなか簡単には打てないと思う。吉田正尚が抜けた場合はマークが集中する危険性もある。西武時代は山川ら強打者がそろっていたけど、オリックスはどちらかというと貧打やから。ラオウ杉本がしっかり中軸の役割を果たせるかどうか。今年みたいにフラフラしていたら、森への負担は大きくなりすぎてしまう。

 ただ、リードのほうは問題なくやれるはず。エースの山本由伸はどの球種も一級品やし、日本シリーズでブレイクした宇田川のように、若手はストレートとフォークという力で押すタイプが多い。森がリードで頭を悩ますことは少ない。捕手出身の中嶋が監督をやっていることも、森にとってはプラス材料になる。キャッチャーとして、一皮むけるためのアドバイスをもらえる。それと中嶋は厳しい面もあるから、やんちゃなタイプの森をうまくコントロールできると思う。

 あとはFAの人的補償で誰を持っていかれるか。オリックスは有望な選手が多いからプロテクトに頭を痛めることになる。

 でも、この人的補償という言葉は嫌いやな。補償で移籍する選手が可哀想や。ドラフトの「外れ1位」とかも同じ。ここ最近の日本は「これのどこが差別用語なん?」と首をかしげるほど言葉狩りが過ぎる傾向があるけど、それなら野球選手の気持ちも少し考えてあげてほしい。人的補償に替わるいい言葉が生まれればいいんやけどな。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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