社会

苫米地英人の『騙す脳』(1)

「『騙す』という行為は生物があらかじめ持っている機能である」

 作曲家・佐村河内守氏、STAP細胞・小保方晴子氏、号泣県議・野々村竜太郎氏、遠隔操作事件の片山祐輔被告、さらには朝日新聞が記事を撤回した「慰安婦強制連行ねつ造」の張本人・吉田清治‥‥今年一年は「詐」に満ちていたと言って良いだろう。これだけ注意喚起がなされているにも関わらず、毎日のように「振り込め詐欺」の逮捕、被害も伝えられてもいる。

 人が人を「騙す」──多くの人はその原因をその時の社会や、詐欺師たちの人生に求める。これに新たな角度から分析を試みたのが認知科学者の苫米地英人氏だ。

「そもそも『騙す』という脳の機能は、人類がこの世に生まれて以来、古代から生き残りのために使われてきた。当局や専門家や学者が、こうした『騙し』の暗躍を阻止しようとしても『騙し』の巧妙さはさらに高度になるばかりでまさにいたちごっこの状態である」

「騙す」という行為は高度な脳をもった人間だけが行うことではない。擬態によって天敵の目を騙す昆虫、メスに姿を似せてライバルの警戒心をはぐらかしまんまと交尾をするゾウアザラシ、そっと巣の中の卵を落とし自分の卵を他の鳥に育てさせるカッコウ。

 生物は生き残るために「騙す」のだ。知能をもった人間の「騙し」はさらに巧妙である。では「騙されないために」何が必要か、前出・苫米地氏はこう語る。

「人が行う巧みな『騙し』がどのように考えだされるのか、『騙し』はどのようにして生まれ、どのように働いているのかを考えなければなりません」

 苫米地氏の新刊『「騙す脳」を作る』の中では、「騙す脳」の作られ方とその機能について詳細に分析されている。

「騙されない唯一の防御法は、『騙す脳』を完璧に理解すること」

 まもなく「詐」の年も終わりに近づこうとしているが、『騙す脳』はいつまでもあなたを狙っているのだ。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身