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「たけし金言集」“週刊アサヒ芸能”連載100回目を迎えて(2)

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 つい先日、フジテレビ系の深夜番組にて、往年の「北野ファンクラブ」を彷彿とさせる、殿の喋りを前面に打ち出した特番「ダンカン馬鹿野郎!!」が放送されました。こちらの番組に作家&演者として参加したわたくしは、改めて、御年67歳になる殿の怪物ぶりに驚かされたのです。

 そこで今回は、「ダンカン馬鹿野郎!!」制作秘話を中心に、諸々と書かせてください。まず、

「最近、好きなことを喋らせてくれる番組がない。オイラ、くだらないことを喋りたい」

 こんな殿の発言が発端となって、番組制作が始動しました。で、3カ月程前に行われた、殿を交えた1度目の全体打ち合わせで、あらかじめ制作側がまとめてきた“こんな感じの番組でいかがでしょうか?”といった、いわゆる企画書にじっくりと目を通した殿は、

「これをやりゃーいいのか?」

 と、まったく気乗りのしない返事を返すと、しばらく思案した後、

「最近よくある、芸人なんかが『こないだ、こんなことがありました』とかって個人的な話をするやつじゃなくてよ、くだらねーテーマを1つ挙げて、みんなでワイワイやって、話がそれたらそれたで、がーっと行ったほうがおもしれーだろ」

 と、まずは大まかなコンセプトの軌道修正を計ると、もうその後は一気に、

「スナックのトイレに行くとよ、なんで必ず相田みつをの言葉が書いてあるカレンダーが飾ってあるんだ?」

「ラブホテルに休憩って書いてあるけどよ、あそこで本当に休憩してるバカはいるのか?」

 等々、殿が思う素朴な疑問を矢継ぎ早に提案され、“とにかく、くだらないテーマを挙げて、それについてあーだこーだと喋るだけの番組にするべき!”と、瞬時に決定されたのです。

 で、殿のこういった“まるで何かに取りつかれたように喋る姿”を見るにつけ、いつも思うのは、殿という方は、とにかく喋れば喋るほど、アイデアがふつふつと湧き上がってくる方で、その湧き上がったアイデアを、やはり喋ることで固めていくのです。さらに、殿は芸人ですから会議の席であっても、周囲の反応と“ウケ”を大変気にします。冗談でも何でもなく、あまりに反応が悪いと、話していく中で、次々に企画が変わっていくことなんかも結構あったりします。

 さて、その後、殿が示した方向へ向けて、殿抜きで会議を重ね、再度、「これでどうですか?」と、新たに練り直した企画書を届けると、殿はやはりじっくりと目を通し、

「こんなだったらいくらでも喋れるな!」

 と、上機嫌でGOサインを出されました。もうそこから先は、収録までの間、

「もうメチャクチャやってやろうと思ってよ!」

 だの、

「これがレギュラーになったらどうせ予算がねーから“3本撮り”だろ。だったら、1回1回止めないでよ、がーっと3本分一気に喋ってやるか!」

 と、とにかくやる気をみなぎらせるのでした。

 で、収録当日の出演メンバーを確認した際には、

「あれだな。ダンカンに言ってやんなきゃダメだな。『お前、最近テレビ出ると泣いてばっかいて、すっかり愛妻家になって好感度上げてるらしいけどよ、お前愛人がいたことあったろ!』ってよ」

 と、師匠だからこそ言えるなかなかの毒ガスを容赦なく噴射されていました。

 で、そのダンカンさんは、その日の殿の印象をブログにて〈フルマラソンを100メートル走のスピードで駆け抜けているような『リニアトーク』怪物です〉と、記されていました。打ち合わせだろうと、本番だろうと、怪物はいつだって、怪物なんです。

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