社会
Posted on 2014年11月19日 09:56

中国“サンゴ密漁船”への反撃シナリオとは?(2)日本の“能力データ”を分析している?

2014年11月19日 09:56

 これはどういうことなのか。野口氏が続ける。

「200隻以上の船団による領海侵犯を、単なる密漁で片づけるほうが不自然です。そもそも、誰からの指示もなく、これだけの船団が集まりますか? 中国政府や人民解放軍が主導している可能性はきわめて高い」

 習近平国家主席(61)は海洋強国を重要な国家戦略に位置づけて権益拡大を目指し、例えば東南アジア海域では再三にわたり、威圧的な行動を繰り返している。「反日の正体」(文芸社)などの著書があり、中国問題に詳しい評論家でジャーナリストの西村幸祐氏もこう言う。

「中国はすでに奄美、沖縄、南西諸島から台湾につながる第一列島線を突破しました。今回の行動は、中国が重要な軍事的な防衛ラインとして位置づけている、伊豆七島から小笠原諸島を抜けてグアムへと続く第二列島線を突破するための布石。太平洋を中国とアメリカで分割統治しようというもくろみのためです。つまり漁船団は、日本政府の動きや海上保安庁が所有する大型巡視船や航空機のルートや性能、海上保安官の捜査能力、この地点を突破したら巡視船が何分で到着するかなどのデータ収集を行っている。あるいは、海底の地形調査なども」

 先の野口氏は、そのデータの活用法について、次のように説明するのだ。

「習近平をはじめとした中国政府高官や人民解放軍の幹部は、漁船団を先兵と見なしている。今回の小笠原諸島、伊豆諸島近海への襲来は、尖閣諸島への上陸などを想定した軍事的な訓練の一環として考えるべきです」

 つまり、どのタイミングでどこの島に海上保安庁の船が何隻集められるかなどを観察しながら、「次の侵略」作戦に役立てようという、いわばスパイ活動の一環なのである。

 ところが今回の一件で海上保安庁は密漁と立ち入り検査忌避で、わずか5人の中国人船長を逮捕したのみ。国民目線では、あれだけの違法大漁船群への対応が鈍い感は否めない。

「現場は24時間態勢で、できるかぎりの対応はしていますが、尖閣諸島の監視に加えて小笠原諸島と伊豆諸島までを取り締まるのは、正直、限界がある。巡視船の大半が尖閣諸島に行っているため、数が足りないのです。仮に200隻を捕まえることができたとしても、取り調べが追いつかない」(海上保安庁報道担当者)

 さらに法的な「足かせ」も影響していると言うのは野口氏である。

「まず、密漁は現認しなければ拘束できません。サンゴを持っていただけでは、領海内で獲ったのか領海外で獲ったのかがわからない。国際法では、領海侵犯した密漁船が指示に従わない場合、銃撃は認められています。しかし我が国では国内法が優先され、『警察比例の原則』という法的解釈が適用され、『正当防衛や緊急避難などでしか人に危害を与えてはならない』など、武器使用に制約が生じるのです」

 EEZでの違法操業で船長を逮捕した場合、400万円前後の担保金(保釈金)を支払ったうえで、あらためて罰金などの刑事罰が科されるが、いずれも安すぎるため密漁が繰り返されるという一面も。加えて、11月7日から11日にかけて北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)前に事を荒だてないため、との見方もあったという。

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