今年7月の大雨で土砂が流入し、法面が崩壊するなどして不通になっていた奥羽本線の新庄駅と院内駅の間を、来年のゴールデンウィーク前に運転再開させると、JR東日本が発表した。
これ自体はとても喜ばしいニュースなのだが、その復旧方法を聞いて衝撃が走った。奥羽本線は土先駅と秋田港駅を除く全線で電化されているが、この区間は架線を取り外し、非電化区間として復旧する。鉄道ライターも驚きを隠さない。
「非電化であれば架線設備を設置し直す必要がなく、線路だけで済み、コストを削減できます。短い時間で復旧できるというメリットもあります。そこで電化区間であっても、非電化で復旧するのです。問題は電化と非電化が混在する路線を走ることになる車両ですが、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを駆動して走る『JR東日本GV-E400系気動車』を使うことで解決するそうです(写真)。一部区間では『キハ110系気動車』での運行も検討中です」
災害に見舞われた路線が復旧することなく、そのまま廃線になってしまうことは珍しくない。しかし、非電化で安価に短時間で…となれば、復旧できるケースが増えていくかもしれない。
「ただ、問題はあります。そもそも被災して廃止になるのは、非電化路線がほとんどだということ。電化区間を非電化で復旧させることが続けば、路線がつぎはぎだらけになるという心配もあります。そうなると、GV-E400系気動車といった一部の車両しか運用できなくなりますね」(前出・鉄道ライター)
それでも廃線になるよりは、存続してくれるだけでありがたい。
(海野久泰)