スポーツ

超白熱「ルヴァンカップ」で露呈したアルビレックス新潟の「シュート22本で3得点」の非効率問題

 まさか、こんなに面白い試合になるとは。

 2024年ルヴァンカップ決勝は2-2のまま延長に突入し、互いに追加点を決めて3-3のままPK戦にもつれ込んだ。そして名古屋グランパスがアルビレックス新潟を5-4で制し、3年ぶり2度目の優勝を飾ったのである。最後の最後まで、どちらに転ぶかわからない好ゲームだった。

 ポイントは、新潟が初のビッグタイトルを手にすることができるかどうか、だった。最終的には、名古屋の試合巧者ぶりに屈した感じだ。

 互いにそれぞれの良さを出し合いながらも、相手のミスを名古屋のベテラン永井謙佑が見逃さず、31分に先制ゴール。さらに42分には新潟のお株を奪うパスワークで再び永井が決めて、2-0で前半を折り返す。

 後半65分、新潟の松橋力蔵監督が得意としている3枚代えでリズムをつかみ、得意のパスワークから71分、そしてアディショナルアイムにもゴールを決めて同点に追いつく。

 延長に入っても93分に名古屋が引き離せば、111分に新潟が追いつき、PK戦にもつれこんだわけだ。

 ただ、この得点経過を見てわかるように、常に主導権を握っていたのは名古屋である。新潟は120分間、追いかける立場だった。一度でも新潟がリードしていたら、結果は違っていたかもしれない。もちろん、新潟が二度も追いついたからこそ、この試合は盛り上がったのだが…。

 もうひとつ気になったのは、新潟はリーグ戦でのボールポゼッション(ボール支配率)が1位。GKから徹底的にボールを繋ぐサッカーで、これは見ていて面白い。ただ、面白いサッカーが強いわけではない。面白いサッカーが勝つわけでもない。

 現に優勝した名古屋は、シュート10本で3得点。一方の新潟はシュート22本で3得点。いかに名古屋が効率的に点を取っているかがわかる。

 ボールポゼッション1位の新潟は、リーグ戦での総シュート数が6位。それでも総得点は11位と低い。今回のような点の取り合いになれば、やはり決定力が大事になってくる。新潟のようなポゼッションサッカーを生かすためにも、決定力を上げなければいけない。

 新潟というチームは、クラブの規模を考えれば、リーグ優勝は厳しい。それでもカップ戦なら、可能性は十分にある。今回のルヴァンカップ決勝を面白くしたのは、明らかに新潟だった。特にサポーターとチームが一体にとなって戦ったのは、Jリーグのあるべき姿だったのではないか。

 ただ、新潟は現実をしっかりと見つめる必要がある。来年のルヴァンカップでリベンジを考えるのではなく、J1残留を決めることに集中するべき。そこからが本当の再スタートになる。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身