スポーツ
Posted on 2024年12月23日 17:58

サッカー大国ブラジルが落ちぶれた原因は「ヨーロッパのサッカーを覚えたから」

2024年12月23日 17:58

 唯一、W杯全大会に出場して、史上最多5回の優勝を誇るサッカー大国ブラジルが、2026年北中米W杯南米予選で苦しんでいる。

 第12節を終了して5勝3分4敗で5位。南米枠が4.5から6.5に増えたため、本大会出場を逃すことはないと思うが、6位のパラグアイとは勝ち点差1、プレーオフに回る7位のボリビアとは勝ち点差5。これ以上の取りこぼしは許されない。

 2014年、地元開催となったブラジル大会でベスト4に進出。その準決勝でドイツに1-7と屈辱的な大敗を喫した。その後、2018年ロシア大会、2022年カタール大会と、2大会連続でベスト8敗退。今夏に開催されたコパ・アメリア(南米選手権)は、決勝トーナメント1回戦(ベスト8)でウルグアイに敗れている。

 ブラジルのW杯優勝は、2002年の日韓大会まで遡る必要がある。では、なぜブラジルのサッカーは低迷したのか。

 それは育成の失敗にある。かつてのブラジル代表選手は、国内リーグでブラジルの個人技を生かしたサッカーを身につけ、代表に選ばれてからヨーロッパに移籍した。だから代表に選ばれても、ブラジルのサッカーにすぐに対応できた。サッカーが進化していっても、ブラジルの個人技を残していった。

 ところが近年、ヨーロッパの主要クラブが18歳で外国人選手とプロ契約できることから、経営難のクラブは育てる余裕がなくなり、18歳で選手を売ってしまう。国内リーグでも1、2年しかプレーせず、ブラジルのサッカーを身につける前に、ヨーロッパに移籍してしまうのが現状だ。

 そうした若手が、フィジカル中心のヨーロッパのサッカーを教え込まれるわけだから、ブラジル代表に選ばれても伝統のサッカーができるわけがない。

 将来、ブラジル代表を背負っていくであろう、レアル・マドリード所属のヴィニシウス、ロドリゴ、そして今季からチームメイトに加わったエンドリッキと、全ての選手が18歳で契約している。今季、FCバルセロナと契約したヴィトール・ロケも18歳。国内リーグを経験したのは1年か2年だ。

 現在のブラジル代表メンバーを見ても、ヨーロッパの所属クラブで欠かすことができない絶対的なエースとして君臨しているのは、ヴィニシウスぐらいだ。他の選手はチームを勝たせるほどの存在感はないし、チームのひとつの駒にすぎない。

 2002年日韓大会で優勝したメンバーには「3R」と呼ばれた、スーパーストライカーのロナウド(インテル・ミラノ)、ファンタジスタのロナウジーニョ(パリ・サンジェルマン)、そしてリバウド(バルセロナ)と、所属クラブのエースを3人揃え、両サイドバックにもロベルト・カルロス(レアル・マドリード)とカフー(ASローマ)と、世界的なサイドバックを揃えていた。

 さらに南米予選の終盤、ブラジル代表を本大会に導く活躍を見せたロマーリオ(バスコ・ダ・ガマ)でさえ、最終メンバーから外された。それほど選手層が厚く、スターが次から次に出てくるのがブラジルのサッカー界だった。

 現在のブラジルサッカーで世界的なプレーヤーといえるのは、ネイマールぐらい。ケガで長期離脱していたが、2025年から代表に復帰する可能性が高い。

 ブラジルサッカーの香りを感じさせる数少ない選手であるネイマールの代表復帰が若手選手に刺激を与え、ブラジルサッカー復活のきっかけになればいいいのだが…。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2026年04月15日 07:15

    千葉ロッテマリーンズの新ホーム球場は、いよいよ「ドーム化」で話がまとまった。施工主の千葉市は当初、膨大なコストがかかる「ドーム型」を諦めて「屋外型」での建設方針を示していたが、ロッテ球団とファンの要請を受けて再検討に入っていた。屋外型であれ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年04月18日 08:30

    この4月、新生活のスタートとともに、家計の見直しに動く人が増えている。今年は特に、食品や光熱費の値上げラッシュが家計を直撃。調味料や加工食品、さらには電気・ガス代まで上昇し、「何を削るか」が現実的なテーマとなっている。ここでクローズアップさ...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年04月17日 18:00

    ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートで、日本勢史上初の金メダルを獲得した「りくりゅうペア」(三浦璃来、木原龍一)が今シーズン限りで現役を退くと、SNSで発表した。2人の連名で思いを綴り、〈困ったときにはいつもそばで手を差し伸べてくださ...

    記事全文を読む→
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/4/14発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク