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記事全文を読む→「新・湘南スタイル」でロケットスタートを切ったベルマーレに起きていること
27年ぶりの開幕2連勝。残留争いの常連だった湘南ベルマーレに今、何が起こっているのか。
開幕戦の鹿島アントラーズ戦は1-0で勝利。しかも鹿島にほとんどサッカーをやらせない完勝だった。2戦目のセレッソ大阪戦も2-0とリードするまでは、完全にC大阪にサッカーをやらせなかった。後半の途中から攻め込まれたが、粘り強く守って2-1で勝利。1998年に中田英寿が所属していたベルマーレ平塚時代以来となる、開幕2連勝を飾った。
2023年度の年間予算は約28億円で、Jリーグの中では21番目。低予算でもなんとかJ1に踏ん張ってきた。
低予算だから、優れた選手は国内外に奪われていく。選手を育てては獲られる、その連続だった。特に2023年夏には町野修斗(現ホルシュタイン・キール)が欧州へ、シーズン終了後には大橋祐紀(現ブラックバーン・ローヴァーズ)がサンフレッチェ広島に移籍。2人とも日本代表に羽ばたいたツートップだ。
そのほかにも日本代表の現キャプテン・遠藤航や、大ケガから復帰したヴィッセル神戸の齊藤未月らも湘南育ち。いい選手を育てても出ていかれる、それは弱小チームの宿命なのかもしれない。
例年、主力選手を獲られながらもなんとかやり繰りしてきたが、今季はちょっと違う。攻守の要である田中聡が広島に移籍したが、昨シーズンに二桁ゴールを決めた福田翔生(10点)、鈴木章斗(10点)、ルキアン(11点)の3人が残留した。「この3人が残留したことが最大の補強」と評するサポーターもいる。現に開幕2戦3得点は、福田と鈴木で決めている。
田中聡が抜けたアンカーには奥野耕平が入り、この2試合、田中が抜けた穴を感じさせない活躍を見せている。昨季のチームから上積みを感じるのだ。
2021年9月から指揮を執る山口智監督の存在も大きい。中盤の激しさやハイプレスを武器にした、豊富な運動量と縦に速いサッカーは「湘南スタイル」と言われてきたが、山口監督はさらに進化させようとしている。
カウンター中心の縦に速いサッカーだけでは、得点力が上がらない。さらに得点力を上げるために、ボールを保持することを取り入れてきた。2023年にはガンバ大阪から小野瀬康介を獲得。小野瀬は横浜FC時代から注目された攻撃センスを持ち、豊富なアイディアで攻撃のアクセントになった。
昨シーズン夏には川崎フロンターレからGK上福元直人を獲得した。以前から足元の技術、キックの正確性に定評があり、最終ラインからのビルドアップにも積極的に参加。カウンター中心の縦に速いサッカーに、ボールをしっかり繋いで崩す攻撃力を試してきた。
現に昨シーズンの総得点は、リーグ7位の53得点まで増えた。ところが失点も増え、58失点はワースト6位。失点さえ減らせば、順位をもっと上げることができる。
今年のキャンプでは、その課題である守備の練習に時間と割いてきた。選手は手ごたえを感じていた。その積み上げてきた自分たちのサッカーで連勝スタートを切ったのは、大きな自信になっていることだろう。
新たな「湘南スタイル」で旋風を巻き起こせるか。目が離せないのである。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。
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