これはデジャブか。巨人・坂本勇人の今季が、原辰徳前監督の現役ラストイヤーとダブると、もっぱらだ。
今季は三塁手として開幕スタメンを迎えたが、打率1割台前半に低迷し、4月15日には出場選手登録を抹消された。
その後、5月7日に左肘靭帯損傷で全治3カ月の長期離脱した岡本和真に代わって緊急昇格し、4試合連続でスタメンに名を連ねていたが、14打数2安打とバットは湿ったまま。本来の打撃といえば、再昇格の初戦で左翼線に決勝の二塁打を放った1本のみで、目立った活躍はしていない。再び2軍再調整の見込みだ。
この現状に、古くから坂本を取材するマスコミ関係者は、次のように話す。
「原(辰徳)さんのラストイヤーとダブって仕方がない。原さんが引退したのは1995年ですが、その年は故障や新戦力台頭などで出番が激減し、2軍落ちも経験している。あの時と状況は酷似しています。このままだと、現役続行はヤバイかもしれませんね」
巨人のスター選手には古くから「不文律」があるといわれている。スポーツ紙ベテラン記者は、
「原さんが引退セレモニーで言った『巨人軍の4番打者には何人も侵すことができない聖域がある』が象徴していますよ。巨人の生え抜きスター選手はボロボロになってプレーをすることは許されず、潔さが求められる。原さんは引退の年、84試合で打率2割3分6厘、4本塁打、22打点の成績でしたが、口うるさいOBからは『晩節を汚す。引退が1年遅かった』との声が出たほどですからね。今季の坂本はその数字を下回る可能性があり、事実上の強制引退に追い込まれるかもしれない」
球団側の意向を無視して、現役続行のため他球団に移籍する手もある。だがこれにも、
「球団側の意向を無視して巨人を出ていけば、指導者として巨人のユニフォームを着る道が絶たれる可能性もあります」(前出・ベテラン記者)
若大将と呼ばれた時期もあった坂本が、元祖・若大将の原氏と同じ道を辿ることになるのか。
(阿部勝彦)