プロ野球の世界では、ずっとくすぶっていた選手が他球団に移籍した途端、水を得た魚のごとく覚醒し、一気に成績をアップさせた例がいくらでもある。これに追随しそうなのが、ソフトバンクから巨人にトレードされたリチャードだと主張するのは、野球解説者の大久保博元氏だ。
2017年の育成選手ドラフト3位でソフトバンクに入団したリチャードは、ウエスタン・リーグでは5年連続5度の本塁打王と4度の打点王になるも、1軍での出場機会はトータル100試合にとどまり、10本塁打、25打点、打率1割6分と伸び悩んでいた。
大久保氏が自身のYouTubeチャンネル「デーブ大久保チャンネル」で、
「巨人軍に来て、大化けする可能性大です!」
と力説するのは、自身の経験に基づくものだからだ。
大久保氏の経歴を振り返れば、1984年ドラフト1位で西武に入団。1989年、当時イースタン記録となる24本塁打、70打点でイースタン二冠王に輝くも、正捕手に伊東勤が定着していたことから、1軍での出場機会にはなかなか恵まれず。1992年、中尾孝義との交換トレードで巨人に移籍した。
すると6月には月間MVPに輝き、オールスター前までに12本塁打を放つと「大久保が打てば負けない」というジンクスまで生み出した。
西武時代のファームの移動バスではふんぞり返って座っていたが、移籍後のバスでは補助席で行儀よく座った。それは巨人の選手を見て、次第に覚えていったことのようで、
「そして喜怒哀楽を出しちゃいけない。どんなに勝っても、どんなに負けても喜怒哀楽を出さず、もちろん喜んではいるけれども、必要以上にパフォーマンスしない。食事中にデカい声で喋るな。そういう空気があります。そうやって自分を規制することによって、いいストレスになるんですね。人間が活性化するには、ただ褒めて育てるだけじゃダメだと医学で言われてます。じゃあ、何が必要か。適度なストレスを与える。ストレスって何か。恐怖と不安がないと、人間は活性化しないと言われているんですね」
大久保氏の巨人移籍が決まったのは5月11日。期せずして、リチャードとは1日違いである。
「リチャードが打てば負けない」
そんなジンクスが生まれることになるか。
(所ひで/ユーチューブライター)