左肘の靭帯損傷により長期離脱した岡本和真に代わる大砲として、巨人がトレードで獲得したのは前ソフトバンクのリチャードだが、そもそも秋広優人を放出してまで獲得するレベルの選手なのか、との疑問を持つ野球ファンがいるのは当然だろう。
ソフトバンクでは5年連続で2軍の本塁打王となったが、1軍では通算10本塁打で打率1割6分5厘だった。根本的に実力不足なのではないか、と…。
巨人でのデビューとなった5月13日の広島戦、いきなり7番・サードで先発出場したリチャードは、第2打席でホームランを放ち、翌14日には5番に昇格。ところが以降の3試合で無安打に終わると、早くもスタメン落ちした。5月18日の中日戦では代打で3ランを放つと、20日の阪神戦ではスタメン復帰と、行き当たりばったりな感じの起用が続く。
当たれば本塁打というパンチ力はあるものの、打撃は荒い。巨人に移籍してからも、落ちる球や高めの釣り玉に手を出して空振りするシーンが目立つ。阪神との初対戦となった5月20日の試合前には、阪神ファンから「リチャードは安パイ」「劣化型サトテル」などと揶揄するヤジが飛んだ。
リチャードがそのポテンシャルを発揮するためには、首脳陣が我慢しながら育てる覚悟が必要と思われるが、気になるのは本職の三塁だけではなく、チームの都合で一塁の守備にも就くことだ。
事実、5月20日の試合では4打数無安打の上、慣れない一塁守備ではゴロをはじくなど、お粗末さを見せてしまった。
はたしてリチャードは、ロマン砲から真の大砲へと飛躍できるのか。
(石見剣)