結成16年以上のプロ漫才師で、過去に賞レース番組での優勝経験がない者のみが、出場の権利を持つ。それが「THE SECOND~漫才トーナメント~」(フジテレビ系)だ。今年で3回目となるこの大会の決勝は、5月17日に行われた。
フジテレビがいまだにあんな状態であるから、どうなることかと不安視されていたが、なんとか無事に開催されたことに、出場する漫才師をはじめ、関係者は胸を撫で下ろしたに違いない。
オープニング、司会の東野幸治が「いやあ、嬉しい。僕の中では感無量で、エンディングでもいいぐらいの気持ち」と言って笑いをとっていたが、あながち「ボケ」ではないだろう。
個人的に応援していた「モンスターエンジン」が「ツートライブ」に決勝初戦で早々に敗れてしまったので、少々残念だった(ちなみに今年の優勝者は、その「ツートライブ」だった)。
ただ、「モンスターエンジン」の出場には若干の疑問が残る。
「実力がありながらも賞レースに出場できない漫才師たちに、セカンドチャンスを掴む場を」というのが大会主旨。確かに彼らは主な賞レースでの優勝経験がないとはいえ、「私だ」「お前だったのか」のやりとりが印象的なショートコント「神々の遊び」で、瞬間風速的とはいえ人気を博した。2010年10月から2013年9月にかけて放送されていた「ピカルの定理」(フジテレビ系)に、ハライチ、ピース、平成ノブシコブシらととに「ピカリ隊」としてレギュラー出演もしていたし、過去の優勝者であるギャロップやガクテンソクに比べたら、むしろ成功した方だと思う。
それ以上に違和感があったのが「ザ・ぼんち」だ。彼らは「やすし・きよし」「B&B」「ツービート」「紳助・竜介」なんかと一緒に漫才ブームを牽引した立役者。音楽活動においても、デビューシングル「恋のぼんちシート」がオリコン初登場で第2位、80万枚のセールスを記録した。あの音楽番組「ザ・ベストテン」(TBS系)にも出演している。おさむに至っては「はぐれ刑事純情派」(テレビ朝日系)にレギュラー出演し、俳優としても活躍していたのだから、そんじょそこらの漫才師とは比較にならないほど成功した、もはや「レジェンド」と呼ばれる存在だ。過去において既に、しっかりとチャンスを掴んでいるはずでは…。
「ザ・ぼんち」がOKなら、そのうち「おぼん・こぼん」やら「オール阪神・巨人」やら「ツービート」やら「のりお・よしお」なんかも出てきやしないかと。それはもはや「花王名人劇場」なのだが…。
(堀江南/テレビソムリエ)