鉛中毒の症状について、浅草橋西口クリニックMoの頴川博芸院長が説明する。
「軽度であれば、だるさを感じたり食欲不振に陥る程度ですが、重篤化すると手足が痙攣し、意識がボーッとします。精神面では、情緒不安定や集中力の低下なども起こる。最悪なケースでは『鉛脳症』といって死に至る場合もあります」
大谷一家にとって何より不安材料となるのが、4月に誕生したばかりの愛娘への影響だ。医療ジャーナリストの村上和巳氏が語る。
「燃焼により排出される、鉛の粉塵や気体を吸い込んでしまう危険性がある。しかも濃度が濃ければ、頭痛がするなどの症状が出ますが、特に幼い子供は大人と比べて影響が大きい。慢性的に摂取すると体内に蓄積され、臓器障害だけでなく知的障害や学習障害になることも懸念されるのです」
生後1カ月あまりとあれば、鉛による害は計り知れず、新米パパ大谷も気が気でないことは想像に難くない。そして、その危惧は愛娘に留まらない。昨年8月には始球式デビューも飾った愛犬デコピンも例外ではないのだ。
環境省のホームページにも〈犬や猫が高濃度の鉛を長期間摂取することで、体内に蓄積され、神経障害や腎障害を引き起こす可能性がある〉と注意喚起がなされている。小さな命は繊細なのだ。仮にデコピンが長きにわたって汚染された土壌を歩き回り、水分を摂取し続けるとしたら、生命の危険を伴う。大谷の安息時間とも考えられる、散歩でさえ慎重にならざるをえないだろう。
愛娘、愛犬と心配の絶えない大谷ではあるが、LAの火事では心を痛め、地域のために貢献もしている。
「およそ7800万円もの寄付をしています。ドジャースも惜しみない支援をしていて、例年同様にホームゲームで勝つたびに『チャイナエクスプレス』や『マクドナルド』『バーガーキング』などの飲食店でロス市民が大幅に割引を受けられるキャンペーンを行っています。今年は山火事の影響もあってか、より店舗数を増やし、大谷やフリーマンに『助かっているよ』との声が飛んでいる」(メジャー担当記者)
目下、絶好調とはいえ、気苦労の絶えない大谷。それでも先の友成氏は、死角なしを強調する。
「強いて言えば打点の少なさが指摘されますが、昨年も打点は7月まで上向かず、8月に入ってから稼いでいる。昨年7月末の得点圏打率は2割3分程度でしたが、8月には2割8分3厘まで上がっている。また、大谷の前を打つ7~9番打者の調子が悪く、選手が入れ替わることも視野に入れれば、結果的に、打点もかなり稼ぐと思います」
この線で二刀流の完全復活、3年連続MVP獲得となるのか─。
自然災害の直撃を受け、高級住宅街の地価が下がろうとも微動だにせず。打って、投げた上に、プライベートで家族を守る。最大限のパフォーマンスを発揮する三刀流に揺るぎはない。