6月1日午後、ホースマンと競馬ファンの夢を乗せて行われるのが、GⅠ・日本ダービー(東京・芝2400メートル)だ。1年間に生産される約8000頭のサラブレッドのうち、たった1頭にしか与えられない栄冠を手にするのは、はたしてどの馬か。
馬券作戦上、まず着目すべきは、牡馬クラシック第1弾のGⅠ・皐月賞(中山・芝2000メートル)だ。筆者が見るところ、今年の皐月賞で「最も強い競馬」をしたのは、横綱相撲で堂々と勝ちに行って2着に敗れたクロワデュノールである。
対して1着のミュージアムマイルと3着のマスカレードボールは、クロワデュノールの流れに乗じて上手く立ち回った感が否めず、ダービーでの再現性には疑問符がつく。ならば「皐月賞で脚を余した4着以下の馬」にもチャンスはあるはずだ。
ただし、クロワデュノールで盤石かと問われれば、そうとも言い切れない。ダービーは「運」がなければ勝ち切れない。道中での不利はもとより、「位置取り」「折り合い」「仕掛けどころ」など、どれかひとつをしくじっても、勝利の女神は横を向いてしまうのだ。
そんな中、前述した「皐月賞で脚を余したリベンジ組」とともに「波乱の主役」として浮上してくるのが「別路線から殴り込みをかけてきた惑星馬」だ。中でも新馬戦から芝1800メートル以上の中距離戦線を意識的に使いながら、地道に賞金を積み上げてダービーへの出走権を手にした陣営には、勝負度合いの強さという点でも要注意である。
このパターンには該当しないが、GⅢ・毎日杯(阪神・芝1800メートル)を快勝後、皐月賞回避を表明するとともに、早々と「ダービー出走」を宣言したファンダム陣営の勝負度合いは激アツだ。父サートゥルナーリア×母父ジャスタウェイという血統はまさにダービー向きであり、大一番でのアッサリがあったとしても全く驚けない。
さらに言えば例年、「ダービーでは勝てない」とされてきた鬼門のGⅡ・青葉賞(東京・芝2400メートル)からエントリーしてきたファイアンクランツにも注意が必要だろう。今年からダービーまでのレース間隔が1週間延長されており、青葉賞2着の同馬が「呪われたジンクス」を覆す可能性は大いにありうる。
ちなみに東京競馬場は金曜に終日雨、土曜に一時雨が予想されているが、終日晴れが見込まれるダービー当日は「良馬場」となる可能性が高い。
(日高次郎/競馬アナリスト)