スポーツ

大打者を「隠語」で侮辱した広島・達川光男の「返り討ち大失敗」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

 試合中、グラウンドにコンタクトレンズを落とし、両軍総出で「大捜索劇」が始まったかと思えば、ボールが当たってもいないのに「当たった、当たった!」と死球をアピールするなど、かつて「グラウンドの詐欺師」と呼ばれたのが、広島の名捕手・達川光男だ。

 1978年に広島に入団し、1992年に引退するまでの14年間で、通算1334試合に出場。カープ一筋の現役生活だった。ただ、先にも触れたように、数々の珍プレーを残しており、今でも伝説として語り継がれるのが、1983年4月27日のヤクルト戦(神宮球場)である。

 この日、広島の先発は前年にルーキーとして新人王に輝いた津田恒実。しかし2年目の初戦となった中日戦で6回途中4失点。その後の大洋戦も6回2失点で白星なし。そして迎えたこの日も初回一死一・二塁で、4番・大杉勝男に3ランを浴びた。

 そして3回裏、再び先頭打者として打席に入ったのが、大杉だった。すると達川がマウンドの津田に近寄り、こう声をかけたのである。

「バッターは石ころと一緒じゃけ、思い切って投げてこい!」

 かつて打球が直撃した塁審が「審判は石ころ(と同じ扱い)」であり、インプレーであると説明。それがのちに「石ころ事件」として物議を醸すことになるのだが、「石ころ」にはもうひとつ、野球の隠語として「足の遅い選手」の意味がある。達川はそんな意味を込めて言ったようなのだが…。

 とはいえ、大杉は東映、日拓、日本ハム、ヤクルトで右の大砲として活躍。この年の中日戦で鈴木孝政から安打を放ち、史上初の両リーグ1000安打を達成した名選手である。いくら津田を奮起させるためだったとはいえ、大先輩を「石ころ」呼ばわりはあまりにも失礼だった。

 この暴言は当然、バッターボックスにも聞こえており、普段は物静かな大杉がみるみる鬼の表情に。なにせ大杉は巨人戦での乱闘で、当時監督だった長嶋茂雄を殴った男として知られる。

 ピリピリムードが球場を包み込む中、前打席で内角直球を運ばれた津田に、達川が要求したのはカーブ。しかし達川の読みは外れ、再び大杉に左翼席へ放り込まれてしまった。

 大杉はしてやったりの表情でダイヤモンドを回り終えると、本塁を踏む瞬間、達川の後頭部をポカリ。これが世にいう「ポカリ事件」である。

 第4打席でも大杉に二塁打され、3安打4打点を献上。試合は6-6の引き分けに終わったが、なんのことはない、味方投手を奮起させるつもりが、相手打者を激怒させ、俄然その気にさせてしまった「迷捕手」の珍問題発言だったのである。

(山川敦司)

カテゴリー: スポーツ   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「ヒルナンデス!」「しゃべくり007」終了報道の裏で持ち上がる「本当に打ち切りたい番組」深刻事情
2
元選手が続々暴露!サッカー日本代表トルシエ監督の嫌われっぷりがスゴすぎた
3
「青春18きっぷ」夏季用発売でも鉄道ファンが「もう興味がない」末期症状
4
相撲協会退職の宮城野親方「強力すぎる特大後援者」のおかげで第2の人生は安泰
5
宮城野親方の退職を喜ぶ人は「いつか地獄の日を味わう」元ライバル力士が怒りの「警告」