「もう、誰を出しても一緒じゃないですか」
6月5日、ZOZOマリンスタジアムでロッテに1-2のサヨナラ負けを喫した直後、巨人・阿部慎之助監督のこのひと言がタイムラインを駆けめぐり、4連敗中のG党の鬱憤を爆発させた。
試合は延長10回、大勢が先頭の山本大斗に157キロ直球を左前へ運ばれ、レフトを守る丸佳浩が後逸して無死二塁に。犠打と申告敬遠で満塁とすると、最後は高部瑛斗へのフォークが指に引っかかって足に当て、押し出しサヨナラ死球。大勢は今季2敗目で、チームは交流戦2連敗を含む4連敗となった。
「痛烈な当たりだが、丸が前に落としていればシングルヒットで済んだ。あの後逸で流れが傾いた」
解説の前田幸長氏は、そう指摘した。押し出し死球の場面では、球種選択に言及。
「フォークはワンバウンドもありうる怖い球種。ワイルドピッチを嫌がった結果だろう」
守備の綻びは、世代交代の遅れという構造的課題を、改めて浮き彫りにしている。この日の外野スタメンは若林楽人、トレイ・キャベッジ、浅野翔吾の若手トリオで、丸は8回の代打から守備に就いたが、1軍復帰後わずか5試合で打率は1割3分3厘と低迷している。
一方、今季ソフトバンクから移籍した正捕手・甲斐拓也は打率2割6分8厘とまずまずながら、4月の爆発的な打棒は影を潜めつつある。
さらに深刻なのが、6月5日に出場選手登録を抹消された坂本勇人で、1軍での成績は打率1割3分3厘、本塁打ゼロ。ベテラン勢の不振がチームの伸び悩みと直結している。阿部監督は試合後、
「点を取れないのが全て。歯車が合えば、連敗は止まる」
と前向きを装ったが、前段の「誰を出しても…」発言が切り取られて「それなら若手を徹底的に試せ」「ベテラン偏重は限界」との批判が噴出した。とはいえ、若林、浅野、泉口友汰ら20代をスタメンに並べても、この日は5安打1得点。交流戦2試合の得点圏打率は1割6分7厘で、シーズン通算でも2割1分6厘と、決定力不足は根深い。
首位・阪神とのゲーム差をこれ以上、広げないためには「誰が出ても勝てる」チームへと転じなければならない。指揮官の本音が嘆きのまま終わるのか、覚悟の反撃となるのか、阿部ジャイアンツの真価が問われる。
(ケン高田)