ついに開幕した「FIFAクラブワールドカップ2025」。今大会から出場チームを32に増やし、世界的な大会として開催される。日本からは浦和レッズが出場しているが、世界の強豪クラブを相手にどこまで戦えるのか、目が離せない。
では実際に、どこまでやれるのだろう。元日本代表の鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルに、東京大学運動会ア式蹴球部の元監督で、解説者として高く評価されている林陵平氏が出演し、分析を行った。
浦和はグループリーグでリバープレート(アルゼンチン)、インテル・ミラノ(イタリア)、モンテレイ(メキシコ)と対戦するが、
「強いですよ、相手は」
と強豪が揃っていると林氏は言う。
「(浦和は)一貫性が欠けていると感じる。Jリーグの柏戦は厳しいことを言ったが、今は適材適所に誰をどこに置くかがはっきりしてきた」
スコルジャ監督については、
「もともとは守備的な監督で、守備をしっかり整えて、攻撃はある程度、選手のタレント性に任せる部分はあるので、そこの改善はまだあまり見られない。構造的に攻守においてどういうふうに攻めて、どういうふうに守って、どこから攻撃するかって部分は少し見られない。タレントで補っている」
監督の戦術面はベストとは言えないようだ。しかし、
「絶対的な選手が1人いる。サミュエル・グスタフソン選手。彼がいるかいないかで、浦和レッズは戦い方が全く変わる。彼が中盤にいることで、ビルドアップの引き出しが増える。守備もしっかり戦える」
グループリーグ2戦目で戦うのは、チャンピオンズリーグ準優勝のインテルだ。
「インテルは3-1-4-2。守備の時は5-3-2。浦和はサイドバックがフリーになりやすい。そこにボールを預けて前進できるかが重要になる。インテルはカウンターのイメージが強いチームだが、ボール保持のビルドアップの局面も上手いチーム。インテルの方が圧倒的にボールを保持する。なのでレッズ側がカウンターを狙う展開になるのかなと思う。松尾佑介のスピードは生きてくる。ブロックをしっかり作って、そこから跳ね返して前線で起点を作って、相手を押し込むことができるか」
第3戦のモンテレイはこう分析した。
「強さがありますし、システムは4-2-3-1。いい選手がたくさんいる。オリベル・トーレス選手やヘスス・コロナ選手、セルヒオ・カナレス選手、そしてセンターバックにはセルヒオ・ラモス選手がいる。監督はドメネク・トレントといって、もともとグァルディオラの下でヘッドコーチをしたことがあり、今年の5月ぐらいからモンテレイを指揮している。まだ作り始めなので、組織的にというよりはうまさとか球際の部分、あとは個のクオリティーで戦っている」
グループリーグは格上ばかりだが、浦和にも勝機はあるそうで、
「浦和も戦えると思う。それはJリーグと違って、海外のチームはある程度スカウティングはするんですけど、肌感覚でまだ対戦したことがない。そうなると『日本のチームだろ』みたいな入りになった時に、浦和のポテンシャルをしっかり出して、自分たちのやりたいことがしっかりできれば、対等に戦える」
その上で、浦和にエールを送ったのである。
「相手を意識するというよりも、自分たちの良さを出そうとした方が戦えると思うんです。だから伸び伸びやってほしいです。初めて戦う相手が多い中で、浦和のことはあまり知られていないと思う。なので、逆にやりやすさはある。自分たちがやりたいことができると思うので。それを生かしてほしい」
浦和は6月22日にインテルと、6月26日にモンテレイと対戦。グループリーグを突破すればボルシア・ドルトムント(ドイツ)と激突する可能性が高い。ぜひともドイツの強豪との戦いが見たいのである。
(鈴木誠)