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記事全文を読む→プロ野球「オンオフ秘録遺産」90年〈ボールが止まって見えた川上が「テキサスの哲」に。新人で二冠達成の長嶋茂雄は“ミスタープロ野球”へ〉
真っ赤に燃える太陽もいつかは沈む。“ミスタープロ野球”長嶋茂雄が2025年6月3日、89歳の生涯を閉じた。
その死を悼む声は絶えない─。
川上哲治が一度ボックスを外すと、三塁走者である新人の長嶋茂雄に目配せをした。マウンド上には小山正明が立っていた。
1対1の同点で迎えた7回表1死二、三塁。4球目のカーブだった。バントの構えから一塁前にボールを転がした。
長嶋がものすごいスピードでスタートし、スライディングで本塁を陥れた。絶妙のスクイズとなった。
スクイズを命じた三塁コーチャーズボックスの指揮官・水原茂が笑った。
巨人の新旧4番打者の息の合ったプレーは、球界トップの座が交代するドラマチックな出来事となった。“打撃の神様”川上は現役通算18年間において8424打席で犠打を18度記録しているが、これが最初で最後のスクイズだった。
1958年9月6日、甲子園球場での阪神対巨人20回戦は、首位の巨人が連敗して迎えた首位攻防戦だった。
巨人はこの1点で勝ち越すと、勢いに乗って阪神を押し切った。
巨 0 1 0 0 0 0 1 1 2=5
阪 0 0 0 0 1 0 0 0 0=1
試合は阪神が小山、巨人は藤田元司の先発で始まった。先制点は4番・長嶋のバットから生まれた。
2回、小山がワンボールから投じたカーブを左翼ラッキーゾーンにライナーで26号ソロを運んだ。阪神は5回に辰市邦輔のタイムリーで同点とした。
だが、巨人は7回に1死から長嶋がヒットで出塁し、5番の藤尾茂が続いて一、二塁とした。6番・川上の3球目に重盗を決めて二、三塁としていた。
長嶋は9回にも西尾慈高から27号ソロを放って試合を決めた。勝ち投手は藤田、負け投手は小山だった。
長嶋は川上とのアイコンタクトをこう振り返っている。
「川上さんがどんな内野ゴロを打ってもホームへ突っ込むつもりで、ベースをうんとリードしていました」
川上は初のスクイズを「長嶋のファイトが効いた」と話した。主将だった川上は「フォア・ザ・チーム」に徹していた。
同年、球界の話題を一身に集めていたのが前年、立教大学から巨人に入団した黄金ルーキー・長嶋だった。
4月5日、国鉄(現ヤクルト)との開幕戦では金田正一の前に4打席連続三振を喫し、試練のスタートとなった。
だが、プロのスピードに慣れてくると、持ち味である力強い打撃がよみがえった。
5月10日の中日戦で本塁打・打点部門のトップに立ち、同14日の阪神戦では打率も3割に到達した。
新人らしからぬ打撃はチームの勝利に大きく貢献し、日本中に大フィーバーを巻き起こしていた。
プロ18年目の川上は赤バットをトレードマークにし、戦前戦後を通してプロ野球界の大スターだった。
兵役のために一度退団したが、46年に復帰すると、以降は3度の首位打者、2度目の本塁打王を獲得するなど巨人にとって「不動の4番打者」だった。
史上初の2000本安打達成者でもある。川上の「ボールが止まって見える」はあまりにも有名な言葉だ。
打撃の神様もこの年は38歳。衰えには勝てなかった。当たり損ねの安打が目に見えて増えて「テキサスの哲」と呼ばれるようになっていた。
水原は8月6日、広島球場での広島17回戦で大きな決断をした。
長嶋を川上に代わって4番に起用したのである。川上は5番に下がった。
長嶋は4回、走者一塁に与那嶺要を置き、中本富士雄のカーブを右翼席に17号先制2ランで運んだ。いきなりの4番本塁打は26日ぶりの一発だった。
初の4番もプレッシャーではなかった。逆に燃える材料になった。
巨 0 0 0 2 1 0 0 0 0=3
広 0 0 0 0 0 0 0 0 1=1
「気分的になんということはない。3、5番も打っているので、たとえ4番でも自分の持てるものを出すだけです」
この試合を機に本塁打の量産態勢に入った。シーズン終了まで残り46試合すべてで4番打者に座った。
巨人は同年、リーグ4連覇を達成した。長嶋は打率こそ阪神・田宮謙次郎(3割2分)に次ぐ2位(3割5厘)だったが、29本塁打、92打点で堂々の二冠を獲得して新人王に輝いた。
盗塁も37個でリーグ2位だった。三冠を含めて四冠王の可能性もあったのだ。黄金ルーキーは4連覇に大きく貢献した。
日本シリーズは3年連続で西鉄(現西武)との対戦となり、巨人は3連勝しながら4連敗で逆転負けを喫した。
MVPには「神様、仏様、稲尾様」の稲尾和久が選出された。
10月21日の第7戦(後楽園)、巨人は0対6と一方的な大量リードを許して9回裏を迎えた。
長嶋が先頭打者として打席に入った。それまで稲尾の前に3打席凡退だった。手には現役引退を明かしていた川上から借りたバットが握られていた。
そのバットで稲尾からランニングホームランを放ち、一矢を報いた。長嶋の後を受けた川上の1打は左飛に終わった。
この日の試合終了後、川上は正式に現役引退を表明した。同年、打率2割4分6厘だった。3割が当然だった川上は、4番の後継者の活躍を見届けてバットを置く決心をしたのだ。
以降、長嶋はスーパースターへの階段を一気に駆け上って行った。
暮れ行く25年、やって来る26年‥‥長嶋さんに合掌。
(敬称略)
猪狩雷太(いかり・らいた)スポーツライター。スポーツ紙のプロ野球担当記者、デスクなどを通して約40年、取材と執筆に携わる。野球界の裏側を描いた著書あり。
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