事件
Posted on 2016年04月10日 09:53

15歳少女を2年間…寺内樺風容疑者の“変質的な素顔”(2)どのように少女を逃げられなくしたのか?

2016年04月10日 09:53

20160414z2nd

 ただ、対照的な両者にも奇妙な符合とも言うべき「共通点」がある。まず特筆すべきは、「オタク気質」だ。報道によれば、寺内は中学時代の同級生からは「鉄道オタク」として認識されており、自作ゲームなども発表。高校生になると、「美少女アニメ」が好きだという証言も出てきた。

 一方、Xも「自動車」と「アイドル」に対して「オタク」と呼んでも差し支えないほどの執着を見せていた。私は少女が9年2カ月過ごした「監禁部屋」に足を踏み入れたことがあるのだが、そこにはXのコレクションである、スポーツカーのパンフレット、ラミネート加工した写真、さらにはファンだった西村知美、岡田有希子などが出演したビデオテープが大量に保存されていた。もちろん、「オタク=犯罪者」などというレッテル貼りをするつもりは毛頭ない。が、ふたりの「監禁男」がともに「美少女」「清楚系アイドル」に対して強い欲望を抱き、オタク的な強い執着心を持っていた興味深い事実である。

 何よりも寺内とXに共通するのは、長期監禁を可能とさせた「卑劣な手口」だ。報道によると、寺内は少女を誘拐した際に、「お父さんは私から借金をしている。借金のかたにあなたを預かる」というウソをついている。つまり、「親に捨てられた」と思い込ませようとしたふしがあるのだ。

 これならば、事件発覚直後に一部から指摘された「謎」も説明できる。

 大学キャンパス横のアパートという監禁場所に加え、寺内が大学の授業やドライブで不在がちだったことが明らかになっていく中で、「なぜ少女は逃げようとしなかったのか」という疑問の声が上がり、中にはまるで少女に逃亡の意志が乏しかったかのようなことを暗に匂わせるような論調もあった。しかし、このような「ウソ」をつかれていたとしたら、「逃げてもすぐに連れ戻されるに決まっている」という考えに至っていた可能性が高い。

 つまり、「絶望」が積極的な逃走を思いとどまらせていたかもしれないのだ。

 実はこれは新潟の監禁事件にも当てはまる。意外に思われるかもしれないが、Xは9年2カ月の監禁中、少女をロープなどで縛って自由を奪うこともしていなかった。誘拐直後にスタンガンで脅したことは認めたものの、それ以外の暴力もかたくなに否定している。また、少女をひとり家に残して、母と出かけることもあった。その際には部屋に鍵をかけて閉じ込めることはしなかった。私自身も「監禁部屋」に入ったが、ドアや窓もごくごく普通の民家にあるもので、特殊な施錠などはされていなかったことを確認している。

 では、なぜ少女は逃げなかったのか──誘拐直後に「逃げてもすぐに連れ戻してやる」「お前が逃げたら代わりに姉さんを連れてきてやる」「誘拐されて死んじゃった子のようになりたいか」などと執拗に脅され続けたことが大きい。それくらいで逃げないというのは考えづらいと思う人もいるかもしれないが、それはあくまで「大人の論理」だ。9歳の子供からすれば、28歳の大人から与えられる「驚愕」が心に及ぼすダメージというのは、我々が考える以上に絶大なのだ。

窪田順生(ノンフィクション作家) 1974年生まれ。「フライデー」の取材記者、月刊誌編集者、全国紙記者などを経て、ノンフィクション作家となる。「14階段─検証 新潟少女9年2ヵ月監禁事件」で小学館ノンフィクション賞受賞。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年09月14日 11:30

    AIは本当に人類を終わらせるのか。専門家のとある主張が世界を震撼させている。その「AI終末論」は、AI開発企業アンソロピックに勤めていた元研究員、ジェイコブ・コクソン氏によるもの。Xで「AI研究関係者の多くが、AIは今後10年以内に人類を破...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年09月16日 20:30

    「ゾンビたばこ」と呼ばれる指定薬物「エトミデート」は、広島カープに大きな衝撃を与えた忌まわしいブツだ。元広島カープの羽月隆太郎氏にこれを譲り渡したとして医薬品医療機器法違反の罪に問われた会社役員・滝口涼介被告の初公判が9月16日に広島地裁で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    社会
    2026年09月17日 07:15

    20世紀最大級のミステリーと言われてきた、イギリス・スコットランドのネス湖に生息するという未確認動物(UMA)の「ネッシー」に、再び熱い視線が注がれている。いったいなぜか。一時期は目撃情報が激減し、専門家からは死亡説や、人間の活動を警戒して...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/9/15発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク