スポーツ

夏の甲子園・我が心の決勝戦(1)広島カープ・福井優也が挑み、跳ね返された歴史的乱打戦

20160818kessyousen

 昨シーズンは自己最多の9勝を挙げ、先発ローテーションの役割を果たした広島カープの福井優也。今シーズンは自身初となる2ケタ勝利を狙うも7月まででわずか2勝と結果を出せずにいる。だが、そんな福井は高校2年の夏、甲子園史上初となる大快挙を目指すチームのエースとして聖地のマウンドに立っていた。

 04年の春の選抜に済美(愛媛)の2年生エースとして甲子園に初出場した福井。なんとこの大会で済美は大会史上最速となる創部3年目での優勝を遂げる。もちろん、初出場初優勝。その中心にいたのが福井だった。

 福井は初戦から決勝戦までの全5試合に先発し、4完投で4勝を挙げた。44回を投げ、被安打32、奪三振43、失点17、自責点13で防御率2.66。初戦&第2戦は鮮やかな連続完封劇を演じている。

 その福井擁する済美は同年夏、今度は「有力校」として甲子園に帰ってくる。狙うは史上6校目、しかも春夏ともに初出場での春夏連覇という過去に例のない大偉業である。

 初戦の相手は“みちのくの剛腕”佐藤剛士(元・広島)を擁する秋田商。福井との投げ合いが期待されたが、予想に反して試合は打撃戦に。結果、11-8で打ち勝ったが、福井は9回完投も171球。被安打15と絶好調時とはほど遠い、不本意な出来に終わった。それでも以降の3試合は6-0、2-1、5-2と“らしさ”を取り戻し、「さすが」の決勝進出を果たす。

 史上初の“春夏初出場での春夏連覇”まであと1勝。世間もその偉業を疑わなかった。

 しかも決勝の相手は、強力打線を武器に勝ち上がってきたとはいえ、過去に優勝のない北海道勢。ところがその伏兵、駒大苫小牧(南北海道)が福井に襲いかかった。

 済美は3回表まで5-1とリードするも、5回終了時にはまさかの6-6の同点に。6回表に3点を勝ち越すが、その裏に福井は2ランを浴びKOされてしまう。この流れを2番手のピッチャーも止められず、駒苫打線は毎回の20安打で計13点。済美打線も19安打で応酬するが、猛追及ばす10-13で打ち負けてしまうのだ。

 翌05年、駒大苫小牧は稀代のエース田中将大(現・ヤンキース)を擁して2連覇する。しかし、創部3年目で春夏連覇を目指した済美と、真紅の優勝旗を初めて北海道へと導いた04年の決勝戦こそ、高校野球が新時代へと突入したことを全国のファンに知らしめた一戦だったといえる。

(高校野球評論家・上杉純也)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身