事件
Posted on 2016年12月30日 09:51

アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.5(1)連続射殺魔・永山則夫「殺めた人の子供に印税をあげたい」

2016年12月30日 09:51

2016_60th_m

 60年代後半は、多感な若者たちが時代変革を求め絶叫し、社会格差に憤った時代でもあった。ある者は政治、また別の者はミュージックや映画で自己表現した。世の中は混沌としたが、それが行き過ぎて、凶悪事件も頻発したのであった。

 横須賀市の米軍基地から盗んだ拳銃で68~69年にかけて東京、京都、函館、名古屋で4人を射殺した犯人は当時19歳の少年・永山則夫であった。アサヒ芸能1970年7月2日号で、20歳になったばかりの彼と東京拘置所でインタビュー、

〈「いまは、1年前のオレとはちがうよ。当時は世の中をしらなかった。いまは社会の仕組みがわかったよ。社会主義にならない以上、犯罪はなくならないよ」〉

 と永山則夫は語ったのだ。

 最初、外界に対してカラを閉ざしていた永山だが、69年9月ごろから、自分との対話を手記という形で書きはじめた。

 3月の公判で、3人目の被害者、函館のタクシー運転手の証拠書類が読み上げられたとき、被害者に3人の子供がいると聞いて永山はうなだれた。

「あれを聞いてオレは、グジャグジャになってしまったんだ。できれば手記を出版して、印税をみんな遺族にやりたい。……オレは貧乏で、高校へもいけず、結局、こんなことになってしまったのだが、あの子どもたち(遺族の)にはオレのような苦労をさせたくないんだ」

 永山は北海道網走市に8人兄弟の7番目の子として生まれたが、父親は博打狂いで家庭は崩壊し、母親は青森県板柳町の実家に逃げ帰ってしまう。その後、東京に集団就職したが、なじめず職と住居を転々とした。その苦しいことばかりだった少年時代を思い出したらしい。

 その後、永山は71年に手記『無知の涙』『人民を忘れたカナリアたち』を発表した。先の言葉どおり永山は、この印税を4人の被害者遺族へ支払った。それからも獄中で旺盛な執筆活動をみせ文壇で評価を得たが、97年、死刑に処された。

 前述したインタビューの最後、

〈「浜の真砂は尽きるとも、世に資本主義のあるかぎり、犯罪は尽きまじだよ」〉

 とシャレてみせた永山。

 ある意味で、貧困が多感な少年を傷つけた末の事件だった。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    スポーツ
    2024年10月29日 05:59

    二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)と赤ヘル戦士。大相撲とプロ野球を横断するこの「異色の組み合わせ」に沸き立つのも仕方がなかろう。それは広島カープ前監督の佐々岡真司氏が10月27日に投稿した、インスタグラムのショート動画だった。シンガーソングラ...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年03月27日 13:00

    プロ野球開幕を前に、セ・パ12球団の順位予想が出揃っているが、際立つのは低迷が続く中日ドラゴンズへの高評価だ。OBの岩瀬仁紀氏は早くも昨年末の時点で2位に推し、「実は優勝にするか迷ったくらい」と語る。元監督の森繁和氏にいたっては、開幕前日に...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年03月28日 09:00

    今後は大好きな「タレント業」に全振りすることになるのだろうか。スピードスケート女子金メダリストの髙木菜那が、4月から情報バラエティー番組「ラヴィット!」(TBS系)に曜日レギュラー出演する。開始当初の「ラヴィット!」は評判がすこぶる悪かった...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/3/31発売
    ■550円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク