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記事全文を読む→清水アキラ「セロテープ芸」誕生秘話
ものまねを極めるためにハンダースを解散して7年。87年に「爆笑!スターものまね王座決定戦」でついに頂点を極めた清水アキラ(58)は、90年、94年と優勝を重ねた。「ものまね王座」は92年のコロッケ降板後も相変わらずの人気を誇っていた。その中心にあったのが、清水だった。
そんな清水の人気を不動のものにした伝家の宝刀といえば、あの“セロテープ芸”である。
ブレイクのきっかけとなった下ネタ芸で、行き詰まった清水が発明したセロテープ芸こそ“ものまねの神様”の贈り物ではなかったかと思えてならない。その誕生秘話もまさに、遊びの延長からたまたま生まれたものだった。
「営業先の控え室にセロテープが置いてあってね。顔に貼って遊んでいたんだ。そうしたら、研ナオコさんに似ているんじゃないかってマネジャーが言うんだよ(笑)。ヒゲを描いたら谷村新司さん、鼻を潰したりサングラスをかけたら春日八郎さんや井上陽水さんになったわけ。これを発見した時はもう小躍りしたね」
この芸をひっ提げて、みごと89年の「ものまね王座」で優勝を遂げる。ちなみに、セロテープ芸初披露の顔まねは研ナオコだった。セロテープ芸の成功に気をよくして思いついたネタが、実はもう一つあったという。
「セロテープ芸の延長でハリガネ芸をやろうと思ったんだけど、痛くてね(笑)。うまくいかなくて、結局やめちゃったよ」
そんな試行錯誤を続け、次々と新しい芸を生み出すのが清水流の発想術だ。
「ネタを編み出す時には、ひとひねりしてやろうという気持ちが大切。ネタを思いついても、焦らずさらに突っ込みを入れながら、じっくりとひねり出す。橋幸夫さんのネタも、この人、話すとすごく真面目な人なんです。この人崩しちゃったらどうなるんだろうって考えてたら、水着が出てきた。橋幸夫さんに『何で俺水着なの?』と言われたけど、俺もよくわからないんですよ(笑)」
だが、ものまね芸は、ものまねをする対象との良好な関係を築けなければ、肝心のネタがおもしろくても披露することが許されない場合も多々ある。ましてや、清水の「セロテープ芸」は、極端にものまねの対象の顔をデフォルメすることから、清水は、何はともあれ“本人への挨拶”を重んじていた。
「風の噂で『五木さんが(ものまねを)よく思っていない』と聞いたものだから、これは挨拶に行かねばと思って、菓子折持って名古屋の御園座に飛び込んで行ったの。挨拶をしたはいいけど、そのまま数分、沈黙が続いて、やっぱり怒ってんだなと思って『じゃあ帰ります』って言ったら『まあ、やりすぎんなよ』とひと言。あれが五木さんの精いっぱいの優しさだと思った」
谷村新司のものまねでは予想外の余波が起きていた。
「俺が最初にものまねをした時に、(谷村の)お子さんが学校でいじめられたみたいで‥‥。植木等さんのご葬儀で谷村さんにお会いした時に『いつもご迷惑をおかけしています』と挨拶をしました。御本人はうなずいてらっしゃいましたけど‥‥」
一方、村田英雄からは思わぬねぎらいの言葉をかけられたという。
「村田英雄さんは、俺が『ムラタだ!』とまねをすることによって名前が売れたとたいそう喜んでくれました。『清水君、キミがムラタ、ムラタって宣伝してくれたおかげでみんなに僕のことが知れ渡って、すごくありがたいんだ』とまで言っていただいた。実際『俺が村田だ!』というタイトルのレコードまで出したんだから。のちにラジオで共演したビートたけしさんから言われたんだけど、『村田先生のような大御所がへそを曲げたら、大変なことになっていたよ』と。村田さんが大きな心で見守ってくれたから、ここまでやってこれたんだと、つくづく思う」
そして春日八郎に至っては、こんな心温まる話もある。
「春日八郎さんは、奥様とお嬢様が僕のものまねを見ていて、『お父さんすごいわよ、あなたのまねをする人がいるのね』とおっしゃったらしくて、それで本人が番組に一緒に出てくださって、『家族がすごく喜んでいるから出てきたよ』って言ってくださいました」
清水の人気が、ものまねの“ご本尊”にまで波及するようになったのは、この頃からである。
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