芸能

天才テリー伊藤対談「ピーター」(2)ピーターの登場が時代を変えたよね

テリー そんなことないでしょう、ピーターはデビュー前からぶっ飛んでるよ。だって、確か中3の時に鹿児島から東京へ家出して来たんじゃなかったっけ。

ピーター そうなの。小2の時に両親が離婚して、母方の祖父の故郷・鹿児島へ引っ越したんですよ。母親が喜ぶ顔を見たいと思って一生懸命勉強して、鹿児島ラ・サール中学に入ったけど、「ひたすら勉強」みたいな雰囲気も息苦しくなって、東京へ逃げ出しちゃった。原宿の「乃樹恵」というお店でゴーゴーを踊ったりコーラを運んだり、みたいな感じで1カ月ぐらいアルバイトしていたんですが、あるお客さんが偶然、父親の知り合いでバレちゃって、今度は大阪で父親と一緒に住むことになるんです。

テリー お父さんは、有名な地唄舞の家元で、人間国宝にもなった吉本雄輝さんですよね。

ピーター そう。で、父の仕事は跡継ぎを育てることだから、また別の息苦しい生活が戻ってきた。結局ケンカになって、高校1年の時にまた家出するんです。その時は「乃樹恵」、青山の「カジノ」、銀座の「キラージョーズ」とか1日に3カ所ぐらい、かけもちでバイトしてたのかな。そのうちに「男の子か女の子かわからない、細いズボンをはいて踊ってるヤツがいるぞ」「ピーターパンみたいね」なんて、その界隈ではちょっと有名になって、「ピーター」って呼ばれるようになるんです。

テリー ああ、ピーターパンから採られたアダ名が、そのまま芸名になったんだ。

ピーター そんな噂を聞きつけた舞台美術の朝倉摂さんという方がお店にいらして、「松本俊夫監督が撮る映画で主役を探しているんだけど、興味ある?」と声をかけられたんです。で、カメラテストを受けたらそのまま出演することになって。

テリー オイディプス王の悲劇をゲイバーの世界に置き換えて描いた「薔薇の葬列」だね。あれ、すごかったなァ。

ピーター それがきっかけになって、「六本木におもしろい少年がいる」みたいな記事をいろんな週刊誌に書かれているうちに、今度は歌の話が来た。それが全部1969年の出来事。

テリー すごいね、家出してからトントン拍子だよ。デビュー曲の「夜と朝のあいだに」も大ヒットしたじゃない。

ピーター そうですね。当時はまだ美輪明宏さんが丸山明宏名義だし、あとはカルーセル麻紀さんの名前が表に出ていたぐらいで、お化粧をした男の子をテレビで見ること自体が珍しかったんですよね。それがレコード大賞の最優秀新人賞を取っちゃったので、ゴールデンタイムの番組にもバンバン出るようになって。

テリー 当時のヒット曲は世間への影響力があるし、時代と価値観を大きく変える存在だったよ。当時のピーターのファンは、男性と女性、どっちが多かった?

ピーター 99%は女の子。デパートの屋上で新曲発表会を開くと、ビックリするぐらい女の子の行列ができてた。男の子はみんな隠れファンみたいな感じ。西城秀樹から昔聞いたんだけど、私のことをボーイッシュな女の子だと思い込んでいたらしくて、「かわいいだろう」って雑誌の切り抜きを友達に見せたら「お前、それ男だぞ」って言われて恥をかいたって(笑)。

テリー ご両親の反応はどうだったの。

ピーター 最初はお化粧していたから、わからなかったみたい(笑)。でも、母はレコード大賞の時に客席に来て号泣してくれたし、ずっと跡を継げとうるさかった父も、最後は認めてくれましたね。私の芸能活動をきっかけに両親が再婚することになるので、少しは親孝行になったかな。

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