社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<新型コロナワクチン接種>3回目接種を控える副反応の目安

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を巡り、厚生労働省が18歳以上を対象とする方向で検討している。

 過去2回の接種では、接種部位の痛みや頭痛、発熱、倦怠感、帯状疱疹などの強い副反応が出た人も少なくないだけに、3回目接種に対して抵抗感や恐怖心もあるだろう。

 なぜ追加接種が必要なのか。デルタ株に対する感染予防効果について、ファイザー社は2回接種から4カ月目には53%まで抗体が低下すると報告している。また、モデルナ社が2020年7~10月に行った臨床試験でワクチン接種を受けた人は、2020年12月~21年3月に接種した人に比べ、21年7~8月の時点でコロナに感染するリスクが1.56倍だったという報告もある。

 となると、追加接種の必要性こそ理解できるが、副反応への抵抗感は簡単に払拭できないだろう。

 そこで重要な指標をひとつお伝えしよう。米疾病対策センター(CDC)の研究発表によれば、米国では2021年9月19日までに221万人が追加接種を受け、そのうち2万2191人が調査に協力。約7000人(32%)に何らかの副反応が生じ、約6200(28%)が日常生活に支障があったと回答している。また、2回目接種時の副反応の頻度・重症度と同レベルだったこともわかっている。しかし、血栓症などの病気に与える影響はまだわかっていない。

 これらの結果を踏まえると、感染すると死亡するリスクが高くなる65歳以上の高齢者、基礎疾患のある人、高度の肥満の人などは、3回目接種を検討したほうがいいと判断するのが合理的だ。

 3回目接種については、これまでの接種でアナフィラキシーの症状があった人、接種後に頭痛や手足のしびれなどの症状が出た人は注意が必要と言えよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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