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スポーツ紙が書かないプロ野球“裏相関図”<セ・リーグ編>(1)「落合GMの誕生がセ・リーグに波紋を呼んでいる」

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 いよいよ今月28日に開幕を迎えるプロ野球。打倒・巨人を掲げた5球団だが、その足並みはまったくそろう気配がない。中日に落合GMが就任し、いきなり大規模なリストラを実施。これに巻き込まれた関係者たちの怨嗟の声が広がっているのだ。これを読めば、セ・リーグの遺恨が一気にわかる──。

 中日の落合博満GMの誕生が、セ・リーグに大きな波紋を呼んでいる。中でも遺恨を生んでいるのが、横浜DeNAとの関係だ。

 11年9月、落合は中日監督を解任された時、コーチ陣を集めてこう言った。

「オレはお前たちの世話はできない。自分たちで(再就職先を)探してくれ」

 当時ヘッドコーチだった森繁和のもとには、すぐに巨人をはじめ、数球団から声がかかった。とりわけ身売りに伴い誕生したDeNAの監督に就任した中畑清は、真っ先に森に入閣を打診した。

 しかし、森はすぐに他球団のユニホームを着るのは申し訳ないと、将来の有望株として友利結コーチを推薦。さらには、みずからのドミニカルートで獲得したブランコをDeNAに送り込み、チームの骨格を築き上げた。

 そして迎えた今シーズン、落合GM──谷繁元信監督ラインで、ヘッドコーチに就任。中日に戻った森は、DeNAから2人のコーチを招聘した。1人は、池田剛球団社長と確執のあった波留敏夫外野守備走塁打撃コーチ。もう1人は、池田社長から「投手を誰一人育てていない」と批判され、更迭された友利投手コーチだ。中日入りした2人のコーチのDeNAに対する憎しみは、なみなみならぬものがあるのだ。

 それどころか、落合GMと中畑監督の確執も根深い。そのルーツは、80年の日本プロ野球選手会の創立まで遡る。初代委員長の中畑は、組合の理事長に巨人時代から昵懇だった大竹憲治(元巨人)を起用したが、これを追い出す形で落合が個人マネジャーだった松原明を強引に送り込んだ経緯もあり、2人の関係は最悪なのだ。

 一時は、森の仲介もあり和解したかに見えた両者だったが、今回の中日の人事で、“仁義なき抗争”の予感すら漂うのだ。

 ましてや中畑は「3年でCSに出なければ辞める」と言っていたが、あっさりこれを撤回。駒大後輩の高橋尚成の獲得に奔走していたことで、コーチ陣にまで目が行き届かなかった経緯もある。コーチ人事をフロント任せにしていた中畑の不徳とも言えるが、落合にどう落とし前をつけるのか見ものだ。

 一方、落合GMは用意周到で、したたかな一面をのぞかせる。かつて確執が伝えられた長嶋清幸を打撃コーチに起用したのだ。

「落合GMが監督時代の06年、当時、作戦・外野守備走塁コーチだった長嶋に対し契約打ち切りを宣告。これに怒り心頭の長嶋が落合監督と高代延博(現・阪神守備走塁コーチ)を記者会見で批判して遺恨となった。ところが、長嶋の真意は、単に高代との個人的な確執だったことから、阪神を牽制する意味で恩讐を越えて獲得した」(球団関係者)

 まさに、寝業師の人事だ。

◆スポーツライター・永谷脩

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