特集
Posted on 2014年08月03日 10:00

掛布雅之 誤算だらけの巨人を攻略する方法とは?(2)

Sponsored
2014年08月03日 10:00

 後半戦スタートの4番に長野を抜擢するあたりは、今年だけでなく、その先をにらんでいるとも感じます。長年、チームの顔だった阿部は年齢面を考えると来年、再来年も主軸を張れる保証はありません。将来、生え抜きで4番を張れる選手を探した場合、長野しかいなかったのでしょう。今はまだ荷が重くても立場を自覚させ、4番として成長させようという狙いがあるはずです。

 他球団からすると、巨人がどっしりと構えて戦う形ができると、つけいる隙がなくなります。だから「形」がなく、采配面でも動きすぎている間に叩いておく必要があるのです。その対抗1番手となるのが阪神です。7月は勝ち運にも恵まれ、投打の歯車がかみ合い、一気に貯金を増やしました。前半戦を終えた時点での巨人とのゲーム差は3.5。甲子園での後半戦開幕の3連戦でも勝ち越しに成功し、ファンも05年以来、9年ぶりのリーグ優勝へヒートアップしています。

 しかし、阪神にとっては本当の勝負はここからです。打線の鍵を握る1、2番の上本、大和は経験が浅く、夏場を乗り切れるかどうか。4番のゴメスも来日1年目だし、正捕手の座をつかみつつあるルーキーの梅野もプロの厳しさを味わうのはこれからです。ジョーカー的な存在となる西岡も体調を崩し、再び登録を抹消されたことも大きなマイナス要素です。

 何度も言いますが、6連戦が続く8月からの戦いこそ、チームとして本当の力が試されるのです。考えてみれば昨季も前半戦を折り返した時点では、首位・巨人と2.5ゲーム差の2位でした。終わってみれば、12.5ゲームもの差をつけられ、前半戦5位から巻き返した広島に2位の座も脅かされたのです。今年は昨季の失敗を糧に打倒巨人を果たさないといけません。

 広島、中日もまだまだチャンスはあります。広島はエース前田の離脱もあり、交流戦では投打の歯車が狂いましたが、もともとバランスのいいチームです。前田がフル回転し、4番のエルドレッドが今のペースでホームランを打ち続ければ、自然と貯金は増えるはずです。センターラインの二塁・菊池、中堅・丸は攻守にハツラツとしていますし、優勝を狙うだけの力は備えています。

 中日の後半戦の戦い方というのも、優勝争いを左右するポイントとなります。優勝を諦め、2位狙いに切り替えてきた時に、巨人を追う立場の阪神、広島はやりづらくなるのです。エースの吉見が復帰し、投手陣は整備されつつあります。打線の得点源の2人、ルナ、大島が前半戦の最後に故障しましたが、彼らが本来の力を発揮すれば、チーム力は相当高いものを持っています。何よりも百戦錬磨の谷繁のリードは、終盤の大一番でこそ力を発揮するはずです。

 前半戦は出遅れたDeNA、ヤクルトも上位進出をあきらめていません。どのチームもここからの1カ月半ほどが正念場です。目が離せない熱い戦いに注目しましょう。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
アサ芸チョイス
社会
2025年03月23日 05:55

胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

記事全文を読む→
社会
2025年05月18日 05:55

気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

記事全文を読む→
社会
2025年05月25日 05:55

急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

記事全文を読む→
注目キーワード
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
アサヒ芸能カバー画像
週刊アサヒ芸能
2025/7/22発売
■620円(税込)
アーカイブ
アサ芸プラス twitterへリンク