社会

上海BMW「中国人アイスクリーム大暴動」は日本の自動車業界には朗報だった

 中国・上海で開催されたモーターショーでの「アイスクリーム事件」余波が収まらない。BMWブースでアイスクリームを配布されなかった中国人来場者の怒りが爆発し、BMWの不買運動にまで発展。騒ぎが勃発した4月19日以降、BMWの株価は欧州市場で下落した。時価総額21億ユーロ、日本円にして3500億円の損失を出したのだ。

 この騒動、対岸の火事ではない。ワイン卸業者が言う。

「毎年2月から4月にかけて、日本国内で世界の飲食産業が一同に会するフードショーが開かれます。2020年以降、新型コロナ感染拡大予防を理由に、一般人の来場が制限されるようになりました。幕張メッセなど大規模会場で世界中の新製品や農産物を試食できるという、フランスやアメリカと並ぶ食の祭典。新型コロナ前の開催では、出展者が配布する試食品に中国人観光客が群がり、商談にも支障が出るマナーの悪さが問題視されたのです」

 前出の上海モーターショー会場でも、4月21日に大量のアイスを持った来場客が乱入。「中国人には無料だ!」とBMWブース前にアイスを置いたところ、100人以上が殺到した。外車の購入を検討する富裕層ですら、この有様だ。

 フランスのワイナリーなどは、お得意様の中国人対応に苦慮しているという。行儀の悪い冷やかし客にも高級ワインを試飲させなかった場合、BMWや過去に中国国内で不買運動が起きたドルチェ&ガッバーナ、メルセデス・ベンツの二の舞になる。

 経済ジャーナリストは、上海のアイス騒動は日本経済にとって勝機だと話す。

「東京モーターショーは2017年に来場者が77万人まで落ち込み、出展企業は新モデルの発表を中国のモーターショーに合わせるなど、国際市場での存在感や影響力を失いかけていました。今年10月25日からは自動車産業に限定されない、ジャパンモビリティーショーとして生まれ変わります。アイス騒動で改めて、世界の製造業はチャイナリスクを再認識した。ジャパンモビリティーショーは、日系企業の存在感を取り戻すチャンスです」

 日本の最大の売りは「アイスひとつで暴動を起こさない、揺るぎない安定感」だ。

(那須優子)

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