スポーツ

パドックで馬を引いている厩務員はインド人の青年だった/日本全国「旅打ち行脚」~門別競馬(1)

「門別ではインドから来た若者が馬を引いてるんですよ」

 北海道在住のベテラン記者に門別競馬のことを聞いたら、こんな言葉が返ってきた。呆気にとられ「インド、ですか」。まさに想定外の情報。?マークを頭にいっぱいくっつけながら、北海道の旅打ちへと向かった。

 旅打ち行脚は足掛け5年になる。コロナ前の2019年に全国の競輪場を制覇し、「旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店)を出版したが、今は地方競馬、ボート、オートと全公営競技制覇に向けて飛び回っている。

 今回は7月17日に終了した函館競輪、GIIサマーナイトフェスティバルをやってから、内浦湾を室蘭へグルッと回り、札幌へと向かう函館本線の苫小牧駅で降りて、襟裳岬まで続く日高地方の入り口、日高町富川にある門別競馬に向かった。

 入り口といっても、苫小牧駅から宿があるむかわ(鵡川)町まで約30キロ、車で40~50分。北の大地の青空の下、ほぼ一本道に車を走らせる。鵡川ICで高速を降り、道の駅「四季の館」内にあるホテル「四季の風」にチェックイン。荷物を預けてから隣町の富川方面へ、やはり一本道をぶっ飛ばすこと10分。ホッカイドウ競馬、門別競馬場に到着したのは5R終了後、17時前だった。

 駐車場は入場門の手前にあり、場内にすぐ入れるレイアウトになっている。通常は担当者に挨拶するなどの手続きを行うが、事前の連絡では「どうぞ取材して下さい」と言われていたので、さっそく場内散策である。

 北海道には昨年3月に出かけた、内陸に位置する十勝平野の帯広競馬場で開催されている、ばんえい競馬がある。北見、旭川、岩見沢の各競馬場は廃止になり、北海道の競馬は帯広と1997年開場の門別の2場である。

 7月18日、4日目。この日の入場者は410人。7月に入ってからは500人前後が多いようだ。旅打ちは人が少ない方がローカル感が出るので、むしろ歓迎である。

 場内に進むと、焼肉とは異なる香ばしい匂いがする。芝生の「とねっこ広場」やその前の「サマーハウス」でジンギスカン鍋をやっているのだ。2~3人前で3000円。子供連れの親子がすでにジュウジュウやっていた。「北海道だね」という感じが充満している。

 この競馬場がいいのは、その先の左にもうパドックがあること。こじんまり感は、地方の競馬場では随一かもしれない。柵が近く、しかも馬が柵際を歩いてくれるので、間近感がハンパない。もっとも、馬を見る目は自慢できるくらい皆目ないので、通り過ぎるのを「いいねぇ」と眺めるテイであるけど。

 馬を引いている中に、緑色の帽子を被った若い厩務員がいた。

「緑色の帽子を被っている厩務員を見て下さい。それがインドの人たちです」

 そんなベテラン記者の言葉を思い出すと、緑色の帽子の厩務員は顔の色がやや濃い、アーリア系と思われる若者たちだった。本当だ。でもなぜ…。

 実はインドでも競馬が盛んで、馬の育成が行われている。飼育に関わる若者が北海道にやって来て、厩務員として働いているらしい。これには日本国内の人手不足も関係しているようだ。

 そして場内には、インドカレーの店もあった。「LUMBINI(ルンビニフードカフェ)」では、インド人の青年が何やら話しながら、手を動かしている。

 さて、何にしようか。チョイスしたのは「チキンベジタブル カレーナン」(600円)。オーダーすると、大きな丸いお団子を手にした店員が、

「ここで今から焼きます。辛いのは大丈夫ですか」

 と流暢な日本語で語りかけてから、目の前の釜にポンと投げ入れた。待つこと3~4分。丸いナン、カップに入ったカレーがトレーに載せられて、出てきた。焼きたて、アツアツのナンをちぎってカレーにつけて食べる。辛さほどほど、甘味少なめ。とろみがある本格派である。

 競馬そっちのけの旅打ちになりそうだ。

(峯田淳/コラムニスト)

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