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記事全文を読む→テリー伊藤対談「甲斐よしひろ」(4)“ロック”とは変化を恐れないこと
テリー ロックというのは、例えばハングリーだとか、反体制的だとか、そういうイメージがあると思うんですけど、甲斐さんにとっての「ロック」とは何だと思いますか。「ロックの定義」というか。
甲斐 僕、ロックはお笑いとすごく通底していると思うんです。「その時代を一瞬にして切り取る表現」という点で。
テリー なるほど。
甲斐 あとは「変わっていくことを恐れない」ということですね。時代の変化に対しても、自分たちの変化に対しても。20代、30代の音楽と、40代の音楽が金太郎飴のようにまったく変わらないというのは、表現としてはよくないと思うんです。僕は2枚目のアルバムに、すでに「変わりゆくことが望みだ」って書いているんです。変化を恐れない姿勢があったからこそ、自分たちの活動が40年、続いたと思うんですけど。
テリー 変化を怖がらないということは、それぞれの時代の中でインスパイアされる出来事があると思うんですよ。これまでに、どういうことに影響を受けているんですか。
甲斐 僕は今も相変わらずたくさんのCDやDVDも買ってますし、それは音楽はもちろんのこと、それ以上に自分がやっているものとは違う分野のことのほうが、よけいに影響を受けますね。
テリー それはよくわかりますね。ロックの、いわゆる反体制さについてはどうですか。
甲斐 僕は「HERO」や「漂泊者〈アウトロー〉」を書いていた時は、ストーンズが「ストリート・ファイティング・マン」を書いたように、時代を絶対に変えてやるっていう気概と、その時代をいちばん疾走している感覚が確実にあった。だけどそういうことは20年も30年も続かないじゃないですか。
テリー うんうん。
甲斐 それでも例えば30代になって、家族や子供といった守るべきものができた時にこそ「それをそのまま歌の中に出せるように生きていこう」と思っていました。というのは、どんな家庭であっても、静かな嵐なのか大きな嵐なのかの違いはあるにせよ、みんなものすごい葛藤の中で生きているはずだから。だからそれをそのままに書けばいいじゃないかと、ずっと思っていますね。
テリー 50代、60代以上の人間は、これからの人生、どうやってロックしていけばいいんですか。
甲斐 自分の中でちゃんと目標や夢を持ったほうがいいですよね。日本人って、つつましいのか謙虚なのかわからないけど、みんな夢を口にしない。それはささやかな夢でもいいし、来年のことでもいいし、5年後、10年後のことでもいい。「ギブソンのSG、50歳になったら絶対買う」でもいいじゃないですか。僕は、何でもいいから、とにかく夢をたくさん語ったほうがいいと思うんです。テリーさんだって、何か目標があるでしょう。
テリー 僕もやりたいことが今でもいろいろありますよ。甲斐さんは、水泳をしたりジムに行っているそうだけど、それもある種の「ファイティングポーズをとる」っていうことだと思うんですよね。50代や60代になってからこそ体を鍛えるということは。
甲斐 そうそう。若い時みたいに喧嘩はしなくていいけど、心の中でファイティングポーズをとることが必要ですから。
テリー 11月15日に開く、東京国際フォーラムの40周年記念コンサートも挑戦の一つなんですか。新しい試みというか。
甲斐 「甲斐バンドシンフォニー」という、クラシック・オーケストラを従えてやるんです。これは確かに初めてのことですね。
テリー どういう形になるんですか。
甲斐 甲斐バンドがフルに演奏をやって、その後ろにアクリル板を挟んで、60人のオーケストラがいる「ロックシンフォニー」です。かつてない試みだし、かつてない規模のライブになります。指揮を執る方が、ロシアのオーケストラで活躍しているかたわら、僕らの音楽も大好きな方で。そういう人と巡り合ったのも大きいですね。
テリー すごいなぁ。どんなライブになるんだろう。
甲斐 WOWOWの生中継も入りますからね。“生”っていうのが怖いですよね(笑)。破綻したら破綻したで、きっとおもしろいですよ。ドキュメンタリーですから。
テリー 楽しみだなぁ。甲斐さんのこれからの夢は何ですか。
甲斐 40年やってきたことに特別な意味は感じていないけど、大いなるものはあったと思います。でもここまでやってきたら50年、60年目もいこうかなっていう気持ちはありますね。
◆テリーからひと言
ミック・ジャガーに負けずに、体より先に心が勃起するかっこいい音楽をこれからも発信し続けていってください!
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