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記事全文を読む→ホントーク〈柯隆×名越健郎〉(3)都心のタワマンを富裕層が買い漁る
名越 尖閣の問題もあって近年の日中関係はかなり悪いですが、そのあたりの変化はありますか。
柯隆 景気が減速すると、ナショナリズムが台頭する傾向があり、それに中国指導部には謙虚さがないから、日本といい関係になるのは難しいでしょう。ただ、若者はアニメや日本食などの文化に関心があるし、日本好きが多いです。アメリカも好きだけど、向こうは銃社会で治安がよくありません。その点、日本は安心です。日本を訪れる中国人は今後さらに増えると思います。
名越 東京の都心にあるタワマンを中国人富裕層が買っているため、値段が高騰しています。バブルが崩壊して中国の投資マネーが撤退すれば値崩れするのではないか、という意見もありますが。
柯隆 確かに東京の都心では1億円の物件もザラですから、普通の日本人はなかなか買えない金額でしょう。でも、この円安で外国人からすれば決して高くありません。それは中国人も同じです。その意味で、今後のマンション相場の動向は、日銀次第としか言えませんね(笑)。ただ、日本人には理解できないと思いますけど、中国人にとって不動産契約書にハンコを押す時の快感は、ものすごく大きい。日本は中国人でも不動産を自由に買えるし、日本には「自由と安全」という魅力がある。これからも大きな変化はないでしょう。
名越 それはいいことなのか、悪いことなのかよくわかりませんね。一方で中国経済が減速すれば、中国への輸出で稼いでいる日本企業や経済全体にとっては、マイナスじゃないですか。
柯隆 私はそうは思っていません。むしろメリットの方が大きいでしょう。日本は失われた30年でも技術力は維持しました。今もトヨタは世界一の自動車企業ですし、工作機械も日本はトップの地位にあります。台湾の半導体の世界的企業・TSMCが熊本に工場を造ったのも、そのためです。ところが、中国はサプライチェーン(供給連鎖)クライシスが重なって、外資が撤退しているので技術も失うでしょう。
名越 日本経済には明るい話ですね。
柯隆 はい。こうした世界的メーカーの日本進出は、日本の脱デフレにも貢献するはずです。
名越 一方で中国経済の未来は暗そうですね。
柯隆 目下の景気減速は景気循環によるものではなくて、政策の失敗に加え、制度上の欠陥によるところが大きい。習近平政権がいつまで続くか見通せないが、中国の景気はなかなか回復しにくいと思われます。
ゲスト:柯隆(か・りゅう)1963年、中国・南京市生まれ。88年来日、愛知大学法経学部入学。92年、同大学卒業。94年、名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)、長銀総合研究所入所。98年、富士通総研経済研究所へ移籍。06年より同研究所主席研究員。18年、東京財団政策研究所に移籍、現在、同研究所主席研究員。静岡県立大学グローバル地域センター特任教授を兼務。
聞き手:名越健郎(なごし・けんろう)拓殖大学特任教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社。モスクワ支局長、ワシントン支局長、外信部長などを経て退職。拓殖大学海外事情研究所教授を経て現職。ロシアに精通し、ロシア政治ウオッチャーとして活躍する。著書に「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)、「独裁者プーチン」(文春新書)など。
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