芸能

神津善行「死んだらまた会えるっていうことは一生懸命教えた」/テリー伊藤対談(4)

テリー メイコさんとは今も毎日お話してるんですか。

神津 してます。

テリー どんなお話をしてるんですか?

神津 あのね、これはちょっと話が飛ぶんですけども、お経とかお線香をあげてナンマイダとかね、それが当人のためになるのか、お線香が本当に天国に行く雲になるのか、そんなことは全然わかりませんけれども、あんまり信用してないんですよ。それでね、お骨が来たらお骨を入れてるところがあって、このくらいありますかね(と50センチ四方程度の四角を両手で作る)。そこを女房の部屋にしてやったんです。

テリー へぇ。

神津 小さい、きれいな椅子とかを置いて、お線香とかそういうものは置かずに。そこにいい写真を20枚ぐらい置いて。いつかその写真を発表しますけどね。それで毎朝そこを開けて、「おはよう」って言うところから1日が始まるんですよ。

テリー 普通の仏壇じゃなくて、「メイコの部屋」を作ったわけですね。

神津 ええ。それで、あの人の好きそうな形に全部してですね。お酒が好きだったから、ちゃんと切らさずに置いたりして。

テリー 毎日?

神津 そう。だから、その時に話をするっていうんですか。何となく女房に言いつけることっていうのが出てきましてね。

テリー 例えば、どんなことですか。

神津 「昨日、ヒロさんが来て、ここで子守唄を吹いたけど、よかったね」なんていう話をすると、こっちも気持ちが楽になるんですね。

テリー どのぐらいお話するんですか。

神津 10分ぐらいですかね。ただ、そこは女房がご飯を食べていたところの前なんですね。だから、どうしても部屋に入ってそこに行くと、そっちを見ちゃうんですね。だから見た目の前のところにそれを作ってやろうと思って。小さな椅子とか、いろんな机のいい物を買っては、そこに据えつけて。これは、僕がどこまでそれをやれるかという問題もあるけれど。

テリー ぜひ、完成させてくださいよ。

神津 死んだらまた会えるっていうことは一生懸命教えたんですよね。だから、女房も「なるべく早く来てね」みたいなことはよく言ってたんですよ。どっちが先に死ぬかっていう話はよくしてたんですけどね。

テリー あ、そうなんですか。

神津 「たぶん年齢的にも俺の方が早いよ」っていう話をすると「困る」と。「私はあんたの葬式できないから勘弁して」って。「だから私が先にきっと行くと思うから頼むわね」なんて言ってたもんですからね。

テリー お二人のこういうお話というのは、例えば本にされたりするんですか?

神津 しないですね。僕にしてみると恋愛ではないんですよ。何か兄妹みたいに、生まれてきてから一緒にいたみたいなところがありましてね。

テリー なるほど。

神津 お互いにあんまり、こうしなければいけないとか、ああしなければいけないっていうのがなかったから続いたんでしょうね。でも、なかなかそういう人って、見つからないんですよ。

テリー そうですよね。

神津 見つかったっていうのはラッキーだったと思うよりしょうがないですね。

テリー それは本当に神津さんみたいな素敵な人と出会えて、生涯を終えることができたというのは、本当に幸せだったなと思います。

神津 今度その「メイコの部屋」が完全にできあがったら、ぜひうちに見に来てください。

テリー 絶対に行かせていただきます。

神津 朝起きて、「おはよう」って言ってあげると、そこに座ってる感じがするんですよね。

テリーからひと言

 机の引き出しにメイコさんのメッセージがあった話は思わず泣いてしまったな。「メイコの部屋」、見に行ける日を楽しみにしています。

ゲスト:神津善行(こうず・よしゆき)1932年、東京都生まれ。麻布中学校、国立音楽高等学校、国立音楽大学器楽科卒業。作曲を信時潔氏、服部正氏、トランペットを中山冨士雄氏に師事。中野区の小学校在学中に肺活量の試験があり、1位になったことで、ラッパ隊の椅子が用意されていたことがきっかけでトランペットを始めることになる。交響詩『月山』、小交響詩『依代』などの他、森繁久彌主演の東宝映画、社長シリーズなど映画音楽を303作品担当。『新妻に捧げる歌』『星空に両手を』、美空ひばりの『夾竹桃の咲く頃』などの歌謡曲やテレビ番組のオープニング曲など多数の作曲を手がける。音楽番組『あなたのメロディー』(NHK)では長年司会を務めた。現在は戦後のジャズコンサート再現コンサートの企画、構成、演出や、自身も司会をするなど、精力的に活動を続けている。

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