阪神・藤川球児監督が打ち出した、佐藤輝明に対するオフの放任主義に、早くも懸念の声が出ている。藤川監督は秋季キャンプ終了後、チームリーダーとしての自覚が芽生えたとして、
「(オフは)は放っておいて大丈夫」
だがこれに疑問を唱える球界関係者が、あとを絶たないのだ。スポーツ紙デスクが代弁する。
「サトテルはどちらかといえば、勘違いするタイプ。昨オフは米シアトルのドライブライン・ベースボールに出向き、体の使い方に関するトレーニングに励みましたが、その前に守備力強化など、日本でやることが山積みになっていたはず。それをおろそかにして、大谷翔平などと同じような取り組みをするのは100年早い、との声が多かった。『砂の上に家を建てるようなもの』と揶揄するOBもいましたね。今オフも本人任せにすれば、同じような間違いを犯すかもしれません」
飛躍のために新たなトレーニングに取り組むことはいいが、危険性も孕んでいる。その最たるものが、堂々の「メジャーリーグ移籍宣言」だ。12月4日に出演した関西ローカル番組で、悪びれることなくこう言ったのだ。
「(メジャーリーグは)小さい頃からの憧れでもある。チャンスがあれば目指したい」
そして今季は4番、5番を打つことが多かったが、
「前の打順を打ってみたい、という思いがないこともない」
公式戦では一度も経験したことがない1番でも起用を直訴するような発言が出たのだが、リーグ失策王が守備に関してコメントする場面はなかった。
ここ数年の阪神の戦い方は、12球団一といわれる投手陣を中心とした守りの野球で、来季のメンバーを見る限り、打撃力が飛躍的にアップすることはないだろう。それだけに、失策王には守備力の徹底強化が求められる。野放し、放牧状態にするのは危険でしかない。
(阿部勝彦)