芸能

ホントーク〈古舘伊知郎×パトリック・ハーラン〉(3)1人でいる時はすごく暗い人間

パックン 古舘さんは「報道ステーション」(テレビ朝日系)のキャスター時代から、視聴者の意見を全部読まれていたそうですね。

古舘 はい。今はユーチューブのコメントを読むことが多いですけど、やっぱりアンチコメントには傷つきますね。でも、これも自分を磨くためのものだと思っています。

パックン どうしてそんなに一生懸命、読むんですか?

古舘 もしかしたら、人に怒られたり、嫌われたりして傷つきたがっているのかな。僕は原始釈迦仏教のファンなんです。これは宗教じゃなくて哲学です。人間が生きる苦しみから解放されて死んでいくことが、いかに素晴らしいかを悟ることによって、平穏な気持ちで生きていくことが、どれだけいいことかを教えてくれます。釈迦の哲理の一つに「諸法無我」という言葉があります。簡単に言うと「自分はいない」ということ。僕はこの考えが好きなんです。

パックン 詳しく教えてください。

古舘 釈迦は自分というものは幻想と虚構、フェイクだと言ったんです。だから、人にグサグサ傷つけられても最終的に自分はいないから、傷ついても意味がない。僕もその境地に行きたくてしょうがないんです。自分の内的世界に入って、自分はいるのか、いないのかと考えているのが好きなんです。

パックン でも、古舘さんを見ていると、ネガティブな人間だと思わないです。だって、しゃべりが面白いじゃないですか。

古舘 いや、8割はグジュグジュしてるんですよ。それでグジュグジュの海から岸辺にはい上がるとメチャクチャ楽しい。人と会ってしゃべっている時は、お祭り状態になっちゃうけれど、1人になるとものすごく暗いんです。

パックン そうなんですか(笑)。最後にお聞きします。88年から続けられている1人しゃべりの舞台「トーキングブルース」やユーチューブの「古舘伊知郎チャンネル」など、ますますご活躍ですが、先日70歳の誕生日を迎えられました。今後はどんな活動をしたいと思われますか?

古舘 もう70歳になって、あれもやりたい、これもやりたいといったって、時間的に無理かもしれないので、目標は立てません。今を生きることだけに専念して、自分がしゃべりたいことをずーっと続けることだけを決めています。

パックン 古舘さんのしゃべり、これからも楽しみにしています。

古舘 ありがとうございます。

ゲスト:古舘伊知郎(ふるたち・いちろう)1954年東京生まれ。立教大学卒業後、77年テレビ朝日にアナウンサーとして入社。「ワールドプロレスリング」などを担当。84年にフリーとなり「古舘プロジェクト」を設立。04年4月から12年間「報道ステーション」(テレビ朝日系)でキャスターを務める。19年、立教大学経済学部客員教授に就任。「喋り屋いちろう」など著書多数。

聞き手:パトリック・ハーラン 1970年、アメリカ・コロラド州生まれ。93年、ハーバード大学を卒業後来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」で一躍人気者に。「報道1930」(BS-TBS)でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。12年から東京工業大学非常勤講師に就任。

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