NHKマイルC(GⅠ、東京・芝1600メートル)で過去10年、逃げて勝ったのは2016年のメジャーエンブレムだけ。2着と3着もそれぞれ、2020年のレシステンシアと2017年のボンセルヴィーソのみだ。やはり直線の長い東京コースで、逃げて好成績を収めるのは簡単ではない。
枠順を見てみると、2017年以降は6枠から8枠に入った馬の勝利が続いている。外枠は内枠に比べて走る距離が長いので一見、不利なようだが、気にする必要はないのかもしれない。
では、過去の競走成績はどうか。芝1600メートルのGⅠで5着以内に入った経験がある馬は【7・2・2・21】と好成績だ。今年、それに当てはまる馬はアドマイヤマーズ、アルテヴェローチェ、ショウナンザナドゥ、マピュース、ランスオブカオスの5頭となる。
このうちアルテヴェローチェとショウナンザナドゥとマピュースは、東京・芝1600メートルを経験済み。アルテヴェローチェはサウジアラビアRC(GⅢ)を1番人気で勝ち、ショウナンザナドゥはアルテミスS(GⅢ)で3着に入っている。マピュースはクイーンC(GⅢ)で、桜花賞馬エンブロイダリーの2着に入った。この3頭は、穴としての狙い目十分だ。
そして見逃せないのは、フェブラリーSから天皇賞・春までのGⅠ6戦中5戦を、外国人騎手が勝っていること。当然のことながら、ルメールが騎乗するイミグラントソングとレーン騎乗のサトノカルナバルには要注意だ。
特にルメールは2016年のメジャーエンプレムと2021年のシュネルマイスターで、当レースを2勝。さらに2020年以降の東京マイル重賞を7勝している。今年まだGⅠ勝利はないが、絶好のチャンスとなる。
土曜日の京都新聞杯(GⅡ、京都・芝2200メートル)は、日本ダービー最終便を懸けての一戦。過去、2000年のアグネスフライト、2013年のキズナ、そして2019年のロジャーバローズがここを勝ち、ダービーも勝利した。その意味でも、見逃せない。
特筆すべきは、武豊騎乗のトッピボーン。未勝利、1勝クラスを連勝中で、特に前走の直線で抜け出す脚は素晴らしかった。持ったままでラスト1Fを11秒3で走ってみせたのだ。1分57秒9の走破時計も優秀。武は現在のところ、ダービーの騎乗馬が決まっていないので、是が非でも勝ちたいところだ。重賞を走ってきた馬が4頭いて楽な戦いにはならないだろうが、期待している。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)