「浮気」が原因か。巨人・戸郷翔征の不振は、FA移籍でソフトバンクから入団した甲斐拓也との「不一致」が挙げられている。
戸郷は5月13日の広島戦(マツダ)に先発登板したが、5回を投げて8安打4失点でマウンドを下りた。これで今季は5戦に登板して、いまだ未勝利。巨人が阪神の後塵を拝す要因になっている。
阿部慎之助監督は不振について、
「真っすぐ、フォーク、スライダーしかないからね。現代の野球だとなかなか厳しい」
と球種の少なさを指摘したが、ある球団OBは意外な理由を口にする。
「ここ2試合は、昨シーズンまでバッテリーを組んでいた大城卓三がマスクをかぶっていたが、開幕直後は甲斐とのコンビだった。甲斐は球界を代表するキャッチャーだが、今季セ・リーグで初めてプレーするため、完璧に他球団の情報が頭に入っているとは言い難い。しかも甲斐のリードは基本、オーソドックス。それが球種が少ない戸郷の投球パターンを読まれることにつながっているかもしれない」
ソフトバンク時代に甲斐を取材してきたマスコミ関係者は、甲斐のリードについて次のように話す。
「堅実で経験に裏打ちされていますが、内角を無理に攻めるよりは、外角中心。ソフトバンクには球に力がある選手が多く、そのリードで何の問題もなかった。それが戸郷に当てはまるとは限らないので…」
今季の戸郷はこれまでの勤続疲労などもあり、球威が著しく低下している。しかも独特の投げ方でもあり、
「他球団に完全に癖を読まれている可能性は否定できない」(スポーツ紙記者)
4月11日の広島戦では、4回途中10失点という自己ワーストで降板。試合後、屈辱の2
軍再調整を命じられた。その後、1軍に昇格して「古女房」大城とのコンビが復活したが、逆に混乱を招くばかりで、復活の糸口は見えてこない。
今季はエース格だった菅野智之がメジャーにFA移籍し、名実ともに巨人投手陣の柱として期待されているが、どうやら「浮気」の代償は大きいようだ。
(阿部勝彦)