プロ野球において、この時期の1軍昇格と2軍降格の情報には気を付けた方がいい。聞こえてきたのは「3年連続で…」の声だ。
何が「3年連続」で起きているかというと、セ・パ交流戦が行われる頃に成立した、巨人のトレードである。それにはとある「傾向」があった。
昨年6月4日、打撃不振に苦しんでいた松原聖弥が1軍昇格すると、6月24日に西武に放出されている。2023年も4月29日に1軍に合流した廣岡大志が、5月17日にオリックス移籍。穿った見方かもしれないが、いったん1軍に昇格させて、トレード交渉を進めている球団にアピールしている感が…。
そして今年は5月12日にソフトバンクとの間で、リチャードと秋広優人、大江竜聖の交換トレードをまとめたばかり。これも「傾向」に当てはまるのか。
ソフトバンクの城島健司CBOが明かした「巨人がリチャードをどうしても欲しいと…」という言葉の通りならば、ソフトバンクはトレードをもちかけられてから、巨人の中で交換要員を探したことになる。巨人が放出候補をセールスアピールしたことにはならないのでは…。
「いや、巨人サイドが『リチャードとの交換要員に秋広を』と提案した、との情報があります」(球界関係者)
阿部慎之助監督は秋広を1軍昇格させた5月2日、こう語っていた。
「ここを逃がしたら、もう(チャンスは)ないと思ってほしい。頑張ってほしい」
秋広は移籍が決まるまでの間、5試合8打席に立っているが、快音は聞かれなかった。「結果が出なければトレード放出」と決めていたのかもしれないが、本当にラストチャンスになってしまった。
「シーズン中のトレードは難しいと言われています。同一リーグでの交換トレードであれば、攻守のサインを相手チームに教えることにもなりかねません。異なるリーグの球団とのトレードであれば、サインを変更する必要はないので」(前出・球界関係者)
巨人は5月16日の中日戦に先駆けて、リリーフの高梨雄平を2軍降格、代わって平内龍大を昇格させた。
「5月7日の阪神戦で中野拓夢に死球を与えて以降、高梨は調子を落としているようでした。中川皓太が復帰していたので、左のリリーバーが不足する事態にはなりません。今回の降格は気分転換も兼ねてのことだと思われます」(スポーツ紙記者)
つまりこれは、トレード第2弾を見据えた「平内の売却アピール」ではないのだと。とはいえ、この時期の昇格と降格にはやはり、ウラがありそうで…。
(飯山満/スポーツライター)