日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400メートル)は過去10年で東3勝、西7勝と、西が圧倒している。東で勝ったのは2015年ドゥラメンテ(堀厩舎)と2017年レイデオロ(藤沢和厩舎)、そして2023年タスティエーラ(堀厩舎)の3頭。今年も18頭中13頭が栗東所属馬なので、数の上からは東が劣勢なのは否めない。
東で期待できるとすれば、皐月賞3着のマスカレードボール(手塚久厩舎)と、毎日杯の勝ち馬ファンダム(辻厩舎)の2頭ではないか。
マスカレードボールは新潟の新馬、東京でのアイビーS(L)、共同通信杯(GⅢ)と、左回りは3戦3勝だ。舞台好転の今回は、皐月賞以上のパフォーマンスが期待できる。8枠17番を引いてしまったのは残念だが、この馬番からは2018年にワグネリアンが6番手からの競馬で勝っている。決して死に枠ではないのだ。美浦・坂路での最終追いでマークした4F52秒3-1F11秒8の時計は自己ベスト。期待していいだろう。
ファンダムは無傷の3連勝で毎日杯(GⅢ)を制した馬。この時の走破時計1分45秒9は4年前に1分43秒9で勝ったシャフリヤールには劣るが、最後方から上がり32秒5の末脚を使ってゴボウ抜きしたもので、迫力満点だった。シャフリヤールはこの後、ダービーを制覇したが、ファンダムにもそのチャンスはありそうだ。
最終追いは美浦のWコースで北村宏を背に3頭併せ。馬なりのまま5F68秒3~1F11秒7をマークして、僚馬2頭と併入した。父サートゥルナーリアはダービーで1番人気に推されながら4着に敗れたが、その仇を討つチャンス。3枠6番は、期せずして父と一緒だ。
3連馬券の紐穴として、堀厩舎のファイアンクランツを挙げたい。勝ちきれないところはあるが安定感は抜群で、相手なりに走れるのは強みだ。馬場が渋って時計がかかるようになれば、要注意である。
西の馬では、骨折明けをひと叩きしたエリキング(中内田厩舎)に注目している。皐月賞は11着に終わったが、スタート後にマスカレードボールとぶつかってバランスを崩したのが全て。その後は無理をせずに回ってきた格好で、度外視していい。
飛びの大きな馬なので、広い東京コースに替わるのは大歓迎。血統から2400メートルは全く問題ない。重馬場の新馬を加速ラップで勝ったように、道悪適性も高い。前走後は在厩で調整を進め、CWと坂路で入念に乗り込んで出走態勢は万全だ。巻き返し必至だろう。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)