国士舘大学柔道部の複数の男子部員が大麻を使用するなどした疑いがあるとして、警視庁が6月16日、麻薬取締法違反の疑いで、東京都町田市のキャンパス内にある学生寮を家宅捜索した。
大学が発表したところによると、6月13日に大麻使用の情報提供があり、翌14日に部員に事情を聞いて、警視庁に相談。同日付で部を活動停止処分とした。部員らは大学の聞き取りに対し、吸ったことを認めているという。田原淳子学長はコメントを発表。
「警察の捜査に全面的に協力するとともに、学内調査を実施し、事実に基づき厳正に対処する」
国士舘大学の柔道部は全国屈指の強豪として知られ、斉藤仁や鈴木桂治(現・日本男子監督)ら8人の五輪選手を輩出している。
奇しくも現在、ハンガリーのブダペストで柔道世界選手権が開催中。現地で取材に応じた鈴木監督は、
「本当にびっくりしている。僕もOBとしてチームを支えられなかったことが悔しい」
鈴木監督は2023年秋まで国士舘大学の総監督を務めていたが、現在は柔道部の役職には就いていない。
6月28日と29日には、これまで国士舘が優勝を飾っている、団体戦の大学日本一を決める「全日本学生柔道優勝大会」が日本武道館で開催される。国士舘は優勝候補だったが、これでは参加できるはずはない。鈴木監督のようなOBからすれば、大麻部員は伝統に泥を塗った「罪人」にしか思えないだろう。
最近では、全国大会で優勝経験がある天理大学のラグビー部員2人が、麻薬取締法違反容疑で逮捕されている。
そして大学の大麻事件で思い出されるのは、2023年に複数の部員が逮捕された日本大学アメフト部、通称「日大フェニックス」だ。2018年の試合中に起きた「反則タックル問題」により、ただでさえイメージダウンしていたところに大麻事件がトドメを刺す形で、2024年1月に正式に廃部を発表。創部から84年の歴史に幕を閉じた。
「この大麻事件に関しては、大学上層部がなんとかして内々に済ませようと動きましたが、結局は事件化し、廃部に追い込まれました。国士舘にもその可能性があります。なにしろ、今の大学スポーツで最も受験生増に宣伝効果があるのは、箱根駅伝。野球やラグビーや柔道はいくら強くても、五輪金メダリストを生み出しても、あまり受験生の増加にはつながりません。不祥事を起こした部を存続させておく意味が薄まるので…」(大手予備校のベテラン講師)
国士舘柔道部員、OB、そして入学を志す高校生たちは、戦々恐々の日々を送ることになりそうだ。
(高木光一)