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Posted on 2026年03月01日 10:02

生誕90年 立川談志と最後の弟子〈初めて書く「イリュージョン」な日々〉(11)ミニスカートで何を見せたいか

2026年03月01日 10:02

 談志が体調不良で落語の仕事を減らしていた時期、よく散歩にお供していた。タクシーではなく電車やバスを利用していたので、たまにファンの方に話しかけられることもあった。若者に話しかけられ、嬉しそうに答えていたのを覚えている。駅のホームで電車を待っている時、犬の写真を使った動物病院の看板を見ながら。

「あの看板見て何がわかる」

「犬がいます」

「そうだな、犬だ、あの犬はモデルかもしれないな、犬を飼ってる人がいるだろう、動物病院って文字を書いた人がいるな、バックに色をつけたやつもいる、番号が書いてあるから電話があるな、マーク(ロゴ)を考えたやつもいる、いいか、看板ひとつでもいろんな情報がある」

 よく談志は斜めから物事を見ると言う人がいるが、この時そうではないとわかった。真正面から見ている。付け加えると真正面から全方向で捉えている。斜めからの情報だと偏ってしまうが、真正面からだと全部見えるものだ。強いて言うなら、裏側に関しては想像しているかもしれない。

 この物の見方が私にとって何の影響を与えたかは、自身の分析力が低いのでわからないが、おそらく役に立ってはいるのだろうと思っている。ただ私は立川談志が好きだが、信者ではないのですべてを肯定してはいない。

 談志と電車の座席に座っている時、目の前にミニスカートの成人女性が座った時など。

「お前なんであの女があんな短いの穿いてるかわかるか、あれはな、オマを見せたいからだ、自分の一番自信のあるのがオマだから、それをチラつかせて男を呼び込むんだ、わかるか」

「はい」

 半分は合ってる可能性を否定できないが、違うと思った。単純に可愛い格好がしたいという気持ちがあったのだと思うし、流行りのスカートを穿きたかったのだろう。この時、盲目的に信じてしまうとえらいことになると学習した。

 物の見方やイリュージョン、落語の基礎はすべて談志に教わったが、落語家とはどういうものかについては教わることができなかった。落語家とは何なのかがわからないまま始まった二つ目生活は、すべてが手探りだった。

立川談吉(たてかわ・だんきち)1981年12月14日生まれ。北海道帯広市出身。2008年3月に立川談志に入門。11年6月に二ツ目昇進。12年4月に立川左談次門下へ。18年7月に立川談修門下へ。26年3月1日に真打昇進「立川談寛」襲名予定。

写真/産経ビジュアル

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